2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61542
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 敏之 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゲノム情報 / アミノ酸配列解析 / 膜タンパク質 / ミトコンドリアタンパク質 / 予測 |
Research Abstract |
生命は多重な階層構造を作りそのシステムを成り立たせている。配列情報はその根源であり、ゲノム情報から生物を理解するためには配列情報に含まれるシグナルを理解することが重要である。本研究ではこの生物科学の大きな問題、アミノ酸配列に含まれるシグナルの理解について、アミノ酸配列の物理化学的な性質を解析することで解決することを目的とした。具体的には膜タンパク質・ミトコンドリアタンパク質のアミノ酸配列からシグナルを抽出することを目的とした。 膜タンパク質の膜貫通ヘリックス付近のアミノ酸配列の物理的性質を解析した。従来から膜貫通ヘリックスは疎水的であることがわかっていたが、加えて両親媒性のアミノ酸が疎水性領域の両端にクラスタを形成しており、このピークが非対称であることが明らかにした。この情報はアミノ酸配列からの膜タンパク質予測の精度向上に大きく貢献するものであった。実際に原核生物の膜タンパク質判別では、水溶性タンパク質が膜タンパク質と予測される擬陽性が改善されていた。真核生物でも同様の改善が見られたが、オルガネラへ移行する膜タンパク質の予測精度が良くないことが判明した。なかでもミトコンドリアタンパク質は数も多く、精度低下の主因と考えられるため、ミトコンドリアタンパク質の予測を試みた。 ミトコンドリアタンパク質をアミノ酸配列情報から分類する方法を考案した。本研究では典型的なアミノ末端に存在するミトコンドリア局在化シグナルのアミノ酸配列解析を行った。結果、最もアミノ末端側にある負電荷アミノ酸のクラスタまでの領域に物理化学的な特徴を見いだした。膜タンパク質と同様の方法で物理化学的性質分布が似ているアミノ末端を検索したところ、約80%のミトコンドリアタンパク質に関して擬陽性の少ない予測が可能であった。本研究で明らかになったことはゲノム規模のアミノ酸配列の解析に十分耐えられる高精度の予測に繋がっている。
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Research Products
(1 results)