2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 孝治 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パピローマウイルス / ウイルス発がん / がん遺伝子 / 細胞分化 |
Research Abstract |
1.全ゲノムを含むHPV replicon HPV18とHPV11に関して全ゲノムを含むプラスミドを構築し,その中に選択マーカーとしてneo耐性遺伝子発現ユニットも含むようにした.組み込みに際しては,想定されている全ての遺伝子や制御領域を壊さないように考慮した.このプラスミドをNHFKnに導入し,G418選択下で培養すると,HPVゲノムをrepliconとして保持した細胞が得られた.次にこの細胞を用いて皮膚モデル培養系を構築したところ,HPV18で顕著な過形成が観察された.この組織においてp53,pRBをIHCにより確認したが,コントロールとほとんど変化がなかった.次に角化細胞の分化と関連すると思われるp21,p130に関して解析を行ったところ,正常組織では基底層部分ではほとんど発現しておらず,分化に伴う発現上昇が観察された.一方HPV18を含むものでは,p21,p130ともに発現時期が大きく遅れ,最表面部においてのみ優位の発現が観察された.この発現異常に関しては,p21はE6とE7,またp130はE7による制御が考えられた. 2.E7による過形成の誘導 先の実験により,E6,E7によって上皮組織の過形成が誘導される可能性が示された.そこで,レトロウイルスベクターを用いてHPV18由来のE6,E7,および両者を発現するE6/E7をNHFKnに導入して,その効果を調べた.通常の単層培養条件下ではこれらの遺伝子発現の効果はほとんど観察されなかった.次にカルシウムと血清刺激による分化誘導に対する挙動を調べたところ,E7を発現する細胞で,弱いながら分化に対する抵抗性が確認された.これらの細胞を皮膚モデル培養系に導入すると,E7およびE6/E7発現細胞で非常に強い過形成・分化異常が観察された.
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Research Products
(1 results)