2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 孝治 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | HPV / がんウイルス / pRb / ウイルス発がん / 過形成 |
Research Abstract |
HPV感染はハイリスク型ローリスク型共に上皮の過形成を誘導することが知られている。ハイリスク型ではE6/E7の機能により細胞が変異を受け入れやすい状態となっており、この時細胞の増殖性が活性化することで多くの変異細胞が出現することにより、癌形質を持つ細胞が出現しやすくなっている。これまでのHPV研究からトランスフォーメーションや染色体変異の誘導に関しては多くの報告があるが、過形成の誘導機能に関してはほとんど報告がなかった。そこで、皮膚モデル培養系を利用して過形成の責任遺伝子の同定を試みた。その結果、E7発現細胞で非常に強い過形成が誘導され、上皮の上層部でもDNA合成が確認された。このことからハイリスク型HPVによる過形成誘導にE7の機能が関与していることが推察された。 変異型E7や低リスク型E7を用いた解析から、pRb経路の不活性化が過形成誘導に重要であることが確認出来た。しかしpRb経路を不活化出来ない変異体でも弱いながら過形成、及び上層部でのDNA合成が確認されたことから、pRb経路以外の因子も関与していることが考えられた。 その他の因子の関与を検討したところ、p130の発現抑制とJNKの活性化を示すことが出来た。p130は細胞分化に関与しており、JNKの活性化が過形成誘導に関与することも報告されていることから、E7による上皮の過形成には複数の経路が協調して関与している可能性が示された。
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