2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳岡 三紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発生生物学 / FGFシグナル伝達 / 中胚葉分化 |
Research Abstract |
ホヤ胚の中胚葉は、脊索、筋肉、間充織で構成されている。そのうち、間充織は110細胞期におけるA7.6割球(体幹側細胞)と、B8.5およびB7.7割球(間充織細胞)に由来する。本研究では、由来する割球間における間充織分化機構の差異を検証することにより、間充織の分化の分子メカニズムをより詳細に明らかにすることを試みている。 カタユウレイボヤ尾芽胚期における発現プロファイルの結果から、間充織で特異的に発現する9つの遺伝子を同定した。発現パターンを詳細に解析したところ、9遺伝子中5遺伝子はA7.6、B8.5、B7.7割球全て、2遺伝子はB8.5、B7.7割球、残り2遺伝子はB7.7割球に由来する間充織で発現が観察された。次に、間充織の分化に関与することが示されているFGF9/16/20、その下流で働く転写因子Twist-like 1a、Twist-like 1bの翻訳阻害実験および過剰発現実験を行い、これらの因子が今回同定した9遺伝子の発現にどう関与するか調べた。その結果、Twist-like 1a、Twist-like 1b両遺伝子はA7.6、B8.5、B7.7各割球由来の間充織の分化に必須な転写因子であることが分かった。一方、FGF9/16/20はB8.5、B7.7由来間充織の分化においては必須なシグナルであるが、A7.6由来間充織の分化に関しては、FGF9/16/20の他にFGFシグナルに依存しない何らかの因子が、Twist-like 1aとTwist-like 1bを含む下流遺伝子の発現に必要であることが示唆された。また、FGF9/16/20、Twist-like 1a、Twist-like 1bを過剰発現させると、B7.7由来間充織のみで発現する遺伝子の発現量が減少した。このことから、間充織の分化に必要なFGFシグナルの量は由来する各割球によって異なっている可能性が示された。
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