2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳岡 三紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞分化 / 分子メカニズム / ホヤ / 中胚葉分化 / 血球細胞分化 / bHLH転写因子 / Twist-like1 / 発生運命転換 |
Research Abstract |
ホヤの成体の中胚葉組織の大部分は、幼生の間充織と呼ばれる細胞群に由来する。間充織は110細胞期胚のA7.6割球に由来する体幹側細胞とB8.5/B7.7割球に由来する狭義の間充織から成る組織である。しかし、幼生の組織が変態を経て幼若体の組織を形成するまでの過程でどのようなことが起こっているのかということに関しては、変態過程そのものに関する研究を除けば、ほとんど行われていない。これまでの知見から、ホヤ幼生における間充織の形成にTwist-like1というbHLH型転写因子が必要であることが示されている。そこで本研究では、幼生の組織が幼若体の組織を形成するまでの過程を知る一環として、Twist-like1の幼生の間充織形成に与えた影響が幼若体の組織形成の過程にも及ぶのかどうかを検証し、幼生の間充織が幼若体の組織を形成する過程で起こっている現象について解明することを試みた。 まず、ユウレイボヤ、カタユウレイボヤの2種のユウレイボヤを用いて、A7.6、B8.5、B7.7由来間充織の成体における発生運命を追跡し、2種のユウレイボヤにおける幼生の間充織が成体の中胚葉組織の大部分を形成することを確認した。次に、Twist-like1が幼生の間充織分化に与えた影響が、幼若体組織の形成にまで及ぶのかどうかという検証を行った。Twist-like1の機能を阻害した結果、間充織由来の成体中胚葉組織のほぼ全てが失われることが分かった。なお、Twist-like1の機能を阻害すると、A7.6、B8.5割球に由来する細胞は幼生内胚葉へ、B8.5割球に由来する細胞は幼生筋肉へとその発生運命を転換させ、それぞれ新たな発生運命に従って幼若体組織を作り出すことが示された。以上の結果から、Twist-like1はホヤの成体中胚葉の幹細胞の形成に必要な転写因子であるといえる。
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