2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61563
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石川 文彦 愛媛大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 幹細胞 / 免疫不全動物 / 免疫療法 / 抗体医療 / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
われわれは、ヒト幹細胞を評価するため、新規免疫不全動物を開発した。これまでの免疫不全動物としてnudeマウスおよびscidマウスが頻用されていたが、それぞれ獲得免疫系のみが不全状態であるため、細胞株の生着は認めたがprimary細胞の生着、増殖に関する評価が困難であった。われわれは、scid変異にIL2受容体γ鎖のnull変異をバッククロスしたマウスを開発することによって、獲得免疫系だけではなくNK細胞活性をはじめとする自然免疫系の機能異常を作ることに成功した。この新規免疫不全動物を新生児期にレシピエントとして用いた異種移植系においては、ヒト造血幹細胞が、これまでのモデルと比較して有意に高率な生着を認め、種々のヒト造血、免疫細胞を産生することが確認された。マウス体内で構築された免疫系は、相互に協同して抗体産生等、機能的に働くことが証明された。このヒト免疫系を有するマウスは、腫瘍関連抗原特異的抗体産生やペプチド特異的ワクチンの開発に有用であると期待される。 一方、正常幹細胞の機能を測定するだけでなく、病的幹細胞の存在を明らかとするために、われわれは、患者由来白血病細胞の生着を試みた。正常造血細胞と同様、白血病細胞も免疫不全マウスの造血組織において極めて高い生着率を得た。さらに重要なことに、マウスにおいて形成された白血病は、白血病細胞の一部を構成するに過ぎないCD34+CD38-細胞という限定された細胞分画からのみ出現することが明らかとなった。このことから、白血病幹細胞の存在が示唆された。この白血病幹細胞分画をターゲットとした抗白血病療法の開発に取り組んでいる。
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Research Products
(4 results)