2003 Fiscal Year Annual Research Report
静止期から増殖期への移行を制御するタンパク質分解システムの解明
Project/Area Number |
03J61567
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 太一 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | p27 / Skp2 / ユビキチン-プロテアソーム / G0-G1 / 細胞周期 / タンパク質分解 / CDKインヒビター / 癌 |
Research Abstract |
G0-G1期を制御するタンパク質分解システムの解明 p27^<Kip1>(以下、p27)などサイクリン依存性キナーゼ阻害タンパク質とよばれる分子群は、細胞周期調節におけるもっとも重要な因子であるサイクリン依存性キナーゼの活性を抑制することにより細胞周期の進行を調節する。p27は休止期(G_0期)の細胞では高い発現量を示すが増殖刺激により細胞周期が進行するとそのタンパク量は急速に減少する。最近ユビキチン・プロテアソーム系に関する研究が進んでおり、p27はE3ユビキチンリガーゼの一つであるSCF^<Skp2>複合体によりユビキチン依存性に分解されると報告されたが、私たちの研究室で作製したSkp2ノックアウトマウスの解析により、SCF^<Skp2>複合体によるp27の分解は主にS期以降で起こり、G_0-G_1期におけるp27の分解には他の経路が関与していることが明らかとなった。[J.Biol.Chem 276,48937-48943 (2001)]。多くの癌細胞でp27の発現量の低下がみられ、またp27ノックアウトマウスで高率に癌の発生がみられることより、p27の発現調節異常と癌化との関連性が示唆されているが、なかでもG_0-G_1期移行時のp27分解亢進が癌化の一因であると考えられている。そこで、G_0-G_1期移行時のp27の分解機構の解明を目的とし、特にSCF^<Skp2>複合体に依存しないp27の分解機構について研究を進めた。p27は、G_0-G_1移行期にCRM1依存的に核から細胞質へと移行し、Skp2非依存的に分解されること、この核外移行にはセリン10のリン酸化が必要であることを示した。さらに、細胞抽出液中に存在するp27の分解に関わる新規ユビキチンリガーセ複合体、KPC(Kip1 ubiquitylation Promoting Complex) 1/2、を精製しその遺伝子のクローニングに成功した[投稿中]。現在、これら酵素群のp27の分解に対する影響を細胞生物学的に検討している。さらには、これらの酵素群のノックアウトマウスを作製し、p27の分解を個体レベルで解析している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishida N, Hara T, Kamura T, Yoshida M, Nakayama K, Nakayama KI.: "Phosphorylation of p27^<Kip1> on Serine 10 Is Required for Its Binding to CRM1 and Nuclear Export."J.Biol.Chem. 277・17. 14355-14358 (2002)
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[Publications] Kamura T, Hara T, Kotoshiba S, Yada M, Ishida N, Imaki H, Hatakeyama S, Nakayama K, Nakayama KI.: "Degradation of p57^<Kip2> mediated by SCF^<Skp2>-dependent ubiquitylation"Proc Natl Acad Sci USA.. 100・18. 10231-10236 (2003)