2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体反応系解析用シミュレータBEST-KITの設計と開発
Project/Area Number |
03J61568
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 淳 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオシミュレータ / コンピュータシミュレーション / 最適化 / 代謝経路 / バイオインフォマティいクス / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
本研究では、現在開発中の代謝系などに代表される生体反応系を解析するためのコンピュータシミュレーションシステムBEST-KIT (Biochemical Engineering System analyzing Tool-KIT)上で、実験により得られたタイムコースデータをもとに、反応系内の値未知な速度パラメータ推定を行う最適化モジュールの開発を行った。 最適化手法には、修正パウエル法(MP)遺伝的アルゴリズム(GA)、ハイブリッド法(GA+MP)の3手法を用いた。ハイブリット法とは、GAとMPのそれぞれの欠点を補いあうように組み合わせた手法である。組み合わせるGAの手法には世代交代モデルにMGG(Minimal Generation Gap)、G3(Generalized Generation Gap)の2手法、交叉法にはUNDX(Unimodal Normal Distribution Crossover)、SPX(Simplex Crossover)、PCX(Parent-Centric Crossover)の3手法を用いた。評価には一般的なベンチマークテストであるRastrigin関数、Rosenbrock関数、Schwefel関数の3種、および典型的な酵素反応スキームを用いた。 ハイブリット法はGAのみMPのみでは解を見つけられないような問題でも解を探し出すことができ、計算時間も短縮できた。ハイブリット法のなかでは、交叉法にPCXを用いたものが、他の2手法を用いた場合より速く、確実に解を見つけ出すことができた。これは、探索初期には初期集団の分布している範囲を超え、かなり広い範囲を探索し、探索終盤では修正パウエル法が効率良く局所探索を行うという働きがうまくかみ合ったためだと考えられる。 本研究により、MassAction++上で未知パラメータ値を推定する最適化機能が充実した。また、それぞれの手法の特徴を調べたことによりユーザは解析したい反応系に合わせて最適化手法を選択することができるようになった。
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[Publications] Jun Yoshimura, Tadahiro Shimonobou, Tatsuya Sekiguchi, Masahiro Okamoto: "Development of the parameter-fitting module for web-based biochemical reaction simulator BEST-KIT"Chem-Bio Informatics Journal. 3・3. 114-129 (2003)