2004 Fiscal Year Annual Research Report
分裂期キナーゼWARTSの機能とその破綻による腫瘍化機構の解明
Project/Area Number |
03J61570
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國仲 慎治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分裂期キナーゼ / がん抑制遺伝子 / アポトーシス / PDZドメイン / セリンプロテアーゼ / カスパーゼ / WARTS / Omi |
Research Abstract |
細胞分裂期作動性キナーゼであり、癌抑制タンパクとしての性質を持つWARTSタンパクの結合分子を酵母ツーハイブリット法を用いて検索した結果、細胞死誘導セリンプロテアーゼOmi/HtrA2を同定した。次にWARTSの各種欠失変異蛋白を大腸菌にて発現精製、または細胞内に発現させた後に結合試験を行い両者の結合部位を検討した。WARTSはC端の疎水性アミノ酸残基を介してOmi蛋白のPDZドメインと直接結合することを見出した。さらにOmi特異的抗体を作製し、免疫沈降法を用いて両者が実際に細胞内で複合体を形成しうることを明らかにした。 Omiは細胞死刺激により,通常存在するミトコンドリアから細胞質に流出し、カスパーゼ活性が抑制された状況下でも自身のプロテアーゼ活性のみで細胞死を誘導できる。RNAiを用いて、細胞内WARTS発現を抑制した細胞に内因性Omiを活性化させる細胞死刺激(staurosporine)を加えた所、対照に比べ有意に細胞死が抑制された。さらにWARTSとOmiを細胞内に共発現させるとOmi単独にくらべ細胞死が有意に増加した。この細胞死増強効果はOmiと結合できないC端欠失WARTS変異体では認められなかった。またRNAiにより内因性WARTSの発現を抑制した後、RNAi効果が生じないように変異を加えた正常およびキナーゼ不活型のWARTSを細胞内に戻し発現させ検討した結果、WARTSのキナーゼ活性がOmi誘導細胞死に対する増強効果に必要であることも明らかにした。 立体構造の解析より、Omiのプロテアーゼ領域への基質のアクセスをPDZドメインが負に制御していることが示されている。我々の実験結果よりOmi PDZドメインにWARTSが結合することが、そのプロテアーゼ活性増強と細胞死誘導に重要な役割を果たしていると考えられた。実際、WARTSのC端20アミノ酸だけをOmiと共発現させると細胞死が増強し、Omiのプロテアーゼ活性も上昇した。さらに細胞免疫染色にて細胞死刺激時にWARTSとOmiが共局在することも明らかにした。以上よりWARTSの癌抑制作用の一つとしてOmi誘導細胞死の活性化があると考えられた。
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Research Products
(2 results)