2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61576
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
大谷 郁 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNAチップ / ウェルシュ菌 / 発現プロファイル |
Research Abstract |
ウェルシュ菌の毒素産生調節ネットワークの全貌を明らかにするため、ゲノム上に存在する28の全二成分制御系遺伝子の破壊株を作製した。その結果、本菌には生存に必須の二成分制御系は存在しないことが明らかとなった。次に、作製した変異株における遺伝子発現プロファイルをDNAチップを用いて解析した。まず、これまでに毒素産生調節に関与することが明らかとなっているVirR/S変異株における遺伝子発現プロファイルを解析した結果、VirR/Sシステムは多くの毒素遺伝子の発現に関与するが、毒素遺伝子だけではなく、エネルギー代謝や糖代謝、さらにアミノ酸代謝など菌の生存に関わる多くの遺伝子が影響を受けていることが明らかとなった。この結果より、ウェルシュ菌においては毒素遺伝子群と生存に必須な遺伝子群の双方がVirR/Sシステムにより調節されており、病原性の発揮と菌の生存が密接に関与していることが明らかとなった。また、このシステムの二次的調節因子であるVR-RNA変異株における発現プロファイルを解析した結果、VirR/Sシステムが直接調節する遺伝子群、VirR/SシステムからVR-RNAを介して調節される遺伝子群、さらに未知の二次的調節遺伝子を介して調節される遺伝子群の3つに分類された。VirR/Sシステム以外の二成分制御系による発現プロファイルを解析した結果、それぞれの関与する遺伝子群によりいくつかのグループに分類することができた。毒素遺伝子については、複数の二成分制御系遺伝子により影響を受けることが明らかとなり、ウェルシュ菌の生存にとって毒素遺伝子を発現することは非常に重要なことであることが予想された。 今後は、この発現プロファイルをもとにプロモーター領域の解析や、未知の調節因子、さらにそれぞれの二成分制御系の関知するシグナル等の同定を試み、本菌における毒素産生調節ネットワークについてさらに詳細に解析していく予定である。
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Research Products
(1 results)