2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ神経機能関連遺伝子の網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
03J61579
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
炭谷 めぐみ 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / Gene Searchシステム / GAL4 / UAS / 神経機能 / 運動失調 |
Research Abstract |
キイロショウジョウバエの突然変異体を用いた研究は、様々な分子機構に関する重要な知見をもたらしてきた。しかしながら、神経機能などに関連する遺伝子が変異した場合、その表現型は致死となるケースが多く、解析が困難であった。本研究で用いたGene Searchシステムは組織特異的に任意の遺伝子を過剰発現させる方法で、生存に必須な機能を担う遺伝子をターゲットとした場合でも解析が可能である。本研究では、Gene Searchシステムを用いキイロショウジョウバエ成虫神経系の機能を担う遺伝子を網羅的に探索し、それらのネットワークを解明することを目的とする。このシステムはGAL4転写因子の標的配列(UAS)を含むGene Search(GS)ベクターをゲノムにランダムに挿入した系統(GS系統)と神経特異的にGAL4転写因子を発現する系統(Appl-GAL4系統)を交配し、得られたF1個体の表現型をもとに遺伝子機能を解析する方法である。当研究室で作製した約10,000のGS系統とAppl-GAL4系統を交配して得られたF1の成虫の生存率および行動に及ぼす効果を評価した。F1の成虫の行動が日齢に伴って損なわれる運動失調系統に着目し、スクリーニングしたところ約30種類の系統が得られた。この系統についてGSベクターの下流に存在する遺伝子をそれぞれ同定したとろ、残念ながらこれらの遺伝子には共通する機構等は見い出すことができなかった。これらの系統のうち、遺伝子機能が不明な2種類のGS系統を選択し、さらに詳細に調べようと研究を計画している。GSベクター下流の遺伝子が細胞レベル、分子レベルでどのような機能を持っているのかを調べるために機能破壊変異体を作製し、その表現型を解析するとともに、機能的関連が推定される遺伝子との相互作用について解析を行う予定である。機能破壊変異体については作製が終了し、現在、表現型の評価を行っている。また、これらの遺伝子産物が直接、どのようなタンパク質と相互作用するのかを酵母two-hybrid法を用いて解析し、機能を明らかにしたいと考えている。
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