2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61581
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
塩生 真史 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ドメイン間相互作用 / ホモロジーモデリング / 進化情報 / 機能部位予測 / リガンド相互作用 / ヒアルロン酸 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
マルチドメインタンパク質は、もともとは独立したタンパク質が重複・融合することにより形成されると考えられる。そのため、ドメイン間相互作用の解析は、タンパク質間相互作用を理解する上でも重要である。今年度は、ドメイン間相互作用様式を予測する手法を開発し、その手法をリンクモジュール(以下、LMと略)と呼ばれるドメインの相互作用予測に適用した。 ヒアルロン酸結合タンパク質の1つであるバーシカンは、重複したLMが一次構造上隣り合って存在している。生化学的な実験結果から、重複したLM同士のドメイン間相互作用が、ヒアルロン酸結合に重要であると考えられる。そのため、LM同士がどのような様式で相互作用するかを知ることは、バーシカンの機能解析に重要である。まず、ホモロジーモデリングにより重複したLMそれぞれの分子モデルを作成した。次に、LMが単独で存在するタンパク質において調べられている、ヒアルロン酸との結合に重要なアミノ酸残基の情報を用いて、重複したLMそれぞれにおけるヒアルロン酸結合面を予測した。さらに、LMの分子系統学的な解析を行い、それぞれのLMに固有の挿入部位および欠失部位が存在することを明らかにした。これらの挿入・欠失は、ドメインの重複に伴って生じ、ドメイン間相互作用に関わる部位と推定された。以上の情報を組み合わせることでLM間の相互作用様式を予測し、重複したLM全体の分子モデルを構築した。モデルから予測された重複したLMが形成するヒアルロン酸結合面の大きさは、実験的に調べられている重複したLMが結合する最短のヒアルロン酸の大きさとよく一致しており、このことは構築したモデルが妥当であることを示している。 以上の結果は、機能部位情報および進化上の保存・非保存領域(特に挿入・欠失)の解析を組み合わせることにより、ドメイン間相互作用様式が予測できることを示している。今後は、同様の考え方が、タンパク質間相互作用様式の予測にも適用できるか解析する必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Matsumoto, M.Shionyu, M.Go, K.Shimizu, T.Shinomura, K.Kimata, H.Watanabe.: "Distinct interaction of versican/PG-M with hyaluronan and link protein."Journal of Biological Chemistry. 278. 41205-41212 (2003)
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[Publications] T.Yada, M.Gotoh, T.Sato, M.Shionyu, M.Go, H.Iwasaki, N.Kikuchi et al.: "Chondroitin sulfate synthase-2. Molecular cloning and characterization of a novel human glycosyltransferase homologous to chondroitin sulfate glucuronyltransferase, which has dual enzymatic activities."Journal of Biological Chemistry. 278. 30235-30247 (2003)