2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61583
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 恵美子 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メラノーマ / 免疫療法 / 癌精巣抗原 / RDA法 |
Research Abstract |
癌の免疫療法では、癌細胞に選択的発現をし、免疫原性が高く、かつ発現頻度の高い抗原の同定が重要である。さまざまな腫瘍抗原の中で、MAGE,NY-ESO1など癌と精巣に特異的に発現する癌精巣抗原は、癌の診断や遺伝子治療に有望であると考えられており、我々はRDA法を用いて同定を試みた。 本研究で行ったRDA法では精巣で特異的に発現する分子を濃縮する目的で、10種の正常組織のmRNAを混合したものでサブトラクションを行った。得られた338クローンについてその塩基配列を決定し、データベースとの比較により癌精巣抗原である可能性の高い125クローンについてRT-PCRを行った結果RDA-TES-1を同定した。RDA-TES-1は19染色体に位置し、9エキソンから成る1293塩基対の遺伝子で、384アミノ酸のタンパクをコードしているが、第3エキソンが欠失した変異体も存在した。RDA-TES-1遺伝子の発現を各種組織・細胞株でRT-PCRにより検討したところ、正常組織では精巣にのみ、またメラノーマの組織・細胞には高頻度に発現がみられた。またRDA-TES-1大腸菌組換えタンパクを血清中のIgG抗体が認識するかどうかを検討したところ、RDA-TES-1はメラノーマ患者25例中10例に、健常人では19例中5例にIgG抗体の存在が認められた。今後、新規癌精巣抗原RDA-TES-1がメラノーマの診断や治療に有用であるかどうか、T細胞応答を検討することにより追求する予定である。
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