2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J61586
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
山崎 吉之 玉川大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 聴覚皮質 / 嗅周皮質 / 皮質-皮質間結合 / 神経解剖学 / 海馬 / スパイクタイミング依存性の可塑性 / 連合性LTP / LTD / 神経生理学 |
Research Abstract |
平成15年度の実績は以下のとおりである。 (1)ラット聴覚皮質-嗅周皮質の結合様式 本研究では、嗅周皮質(35野、36野)から聴覚連合皮質への投射、および腹側の聴覚連合野(Te3)からの投射の様態について、PHA-L順行性標識法を用いて解剖学的に解析した。聴覚野の領域区分を、一次聴覚野であるTe1と、その尾側、背側、腹側、吻側の領域を、それぞれ、Te2c,Te2d,Te3v,Te3rと区分する。標識物質を腹側の聴覚連合野(Te3v)に限局して注入したとき、聴覚連合野(Te2c,Te2d,Te3r及びTe3v)と嗅周皮質(36野および35野)への投射が確認された。その他の領域と一次聴覚野(Te1)には、この領域からの投射はほとんど見られなかった。標識物質の注入が聴覚連合野から36野の背側に及んだ場合には、上記の領域に加えて一次聴覚野と嗅後皮質に弱い投射が確認された。このような投射は注入が36野の背側から尾側の聴覚連合野に及んだ場合にも同様に観察された。標識物質の注入が更に36野の腹側に及んだ場合には、聴覚領域に留まらず、視覚野(Oc1及びOc2)に広く投射が確認された。また、外側嗅内野への弱い投射も同時に確認された。これらの結果は、第13回神経回路学会(2003年9月東京)において報告された。 (2)ラット海馬CA1領域における入力-入力タイミング依存性LTP/LTDの解析 本研究では、海馬CA1領域に投射する二つの経路に単発刺激とバースト刺激の組み合わせ刺激を入力し、刺激前後のCA1領域の集団応答の変化を観察した。これらの比較により、シナプス前細胞のバースト刺激と単発刺激との時間的なタイミングに依存して海馬CA1領域の連合性シナプス修飾が変化する可能性が示唆された。平成16年度は、本研究の結果をさらに詳細に解析する。
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