2003 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類における染色体構造および複製ドメイン構造の分子進化に関する研究
Project/Area Number |
03J61592
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
香田 淳 国立情報学研究所, 学術研究情報研究系・生物系研究情報研究部門, 特別研究員PD
|
Keywords | 染色体構造 / 複製ドメイン構造 / 霊長類 / Molecular Combing法 / Combing FISH |
Research Abstract |
本研究では、ヒトと他の霊長類との特徴(共通点、相違点)を染色体、ゲノム構造変化といった点から解明し、ゲノムの再構成による染色体の進化を示すモデルを構築することを目的とした。まず第一に霊長類の全分類群をカバーして、進化的に相同な染色体領域を特定し、霊長類での染色体のモザイク構造、再構成領域を明確にする。第二に、ヒトへと至る染色体の分子進化で生じた染色体の再構成領域に注目し、周辺領域を含めたゲノム領域の特徴をDNA複製時期と複製ドメインレベルから霊長類間で詳細に解析する手法によって研究を展開する。最終的には、本研究で得られた結果をとりまとめ、ヒトへの染色体進化を解明出来るモデルを構築することを目標とした。 基礎技術としては霊長類における染色体構造および複製ドメイン構造の分子進化に関する研究を詳細に行う開発を中心とした。ガラス表面上へのDNA分子を固定化し、DNAを一分子レベルで一定の長さで引き伸ばし、クローン間の正確な距離や位置関係などを一分子のDNA上で解析できる方法としてMolecular Combing法があり、本研究では一分子DNA上でのゲノム解析を可能にするために、この方法を導入し安定してDNAを引き伸ばす方法の確立を検討した。 Molecular Combingのための安定したガラスのコーティングの検討 最初にガラスのコーティング法とDNAの結合について検討した。結果、DNA抽出処理、長さの異なる、酵母、ヒト培養細胞、ソーターで回収した染色体などについても同様に行ったところ全てを安定して引き伸ばすことに成功した。 Combing FISHの検討 続いて、引き伸ばしたDNAを利用してCombing FISHについて検討した。結果、コハク酸によるマスキング処理、又はハイブリダイゼーション溶液中に界面活性剤を添加することによりCombing FISHを用いて明瞭なシグナルを検出することに成功した。 BACクローンおよびクローン間の距離の検討 引き続いてCombing DNA上でのFISHを用いて正確な距離を測定出来るかについて検討した。結果、それぞれ長さは、BACクローンは約84um(193kb)、60um(138kb)、ギャップサイズは約60um(138kb)であり、BACクローンおよびクローン間の距離を正確に測定することが可能であることを示した。 この期間中の成果として、従来、非常に難易度が高く簡単に導入することが出来ない技術であるMolecular CombingおよびCombing FISHを簡便な形で確立することに成功した。
|