2003 Fiscal Year Annual Research Report
Ewing肉腫の新規キメラ遺伝子CIC-DUX4の機能解析
Project/Area Number |
03J61594
|
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
山口 修一 財団法人癌研究会, 癌研究所・発がん研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 染色体転座 / キメラ / Ewing肉腫 / CIC / DUX4 / EWS / POU5F1 / Fli-1 |
Research Abstract |
染色体転座t(4;19)(q35;q13)を有するEwing肉腫において、BAC cloneを用いたFISH法、サザン法、ゲノムライブラリーのスクリーニングおよびRACE法等の手法を用いて、新規キメラ遺伝子CIC-DUX4を同定し、その遺伝子と蛋白の構造を明らかにした。このキメラには、大半のEwing肉腫で認められるEWS-Etsキメラとの構造上の関連性が認められなかった。4q35側の切断点が顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの責任領域内に位置するサブテロメア領域であるD4Z4 repeat内にあることからこのrepeatの分断が周囲の遺伝子発現を変化させることで発がん機構の一端を担っている可能性が示唆された。 さらに、染色体転座t(6;22)(p21;q12)を有する悪性軟部腫瘍の症例が得られたので解析した。サザン法、3'-RACE法、long PCR法等の手法により、EWS遺伝子とES細胞の未分化能の維持に関わる転写因子であるPOU5F1遺伝子のキメラ転写産物を同定しゲノム上の転座切断点を特定した。POU5F1の転写制御機構の異常が発がん機構に重要である可能性が考えられた。 また染色体転座モデルマウスについては、まず始めに、Ewing肉腫で最も多く認められるEWS遺伝子とFLI-1遺伝子の転座モデルマウスの作製を試みた。マウスのES細胞よりゲノムライブラリーを作製し、それから転座の対象であるマウスEwsとFli-1のゲノムクローンを単離した。ターゲッティングコンストラクトとしてGFPの発現によって転座が生じたことが確認できるように、Ewsではイントロン7にFlox化されたネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)およびGFPのORFとpolyA領域を挿入したもの、Fli-1ではイントロン5にプロモーターとFlox化したNeoRを挿入したものを考案し、現在作製途中である。
|