2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルス7の組み換えウイルスの作製と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
03J82009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武本 眞清 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス6 / p53 / アポトーシス / ユビキチン化 / 核移行 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)はHHV-7とウイルス学的にも分子系統学的にも非常に近縁なウイルスであり、HHV-6の基礎研究を通してHHV-7のウイルス学的性状の予測や検討に役立てることができる。また最近HHV-6の組み換えウイルスの作製に成功したとの報告があり、HHV-7の組み換えウイルス作製のモデルとしてHHV-6に焦点を当て研究を行った。まずウイルスが感染することによって引き起こされる細胞因子の変化を解析した結果、腫瘍抑制遺伝子の一つであるp53の細胞内レベルが上昇していることが明らかとなった。p53の増加は感染初期4時間までに開始されており、ウイルスの前初期タンパクの関与が示唆された。またpulse-chase実験およびプロテアソーム阻害剤を用いた実験により、感染細胞ではp53のユビキチン化が抑えられ、結果的にタンパクの安定化を引き起こしていることが明らかとなった。通常p53が抗ウイルス作用の一つとして感染細胞にアポトーシスを誘導するためには、標的遺伝子の発現を促進するために核移行するステップが重要であると考えられている。しかし共焦点蛍光顕微鏡による観察の結果、p53は細胞質に蓄積し、ウイルスの構造タンパクであるglycoprotein H(gH)と共局在を示した。さらにUV照射によるp53の核移行が感染細胞では抑えられていた。このことから我々は感染細胞がアポトーシス耐性となっていると仮説を立て、UV照射によるアポトーシス誘導を試みたところ、HHV-6感染後24時間経った細胞は有意にアポトーシス耐性を示した。以上の研究結果により、HHV-6は感染細胞で上昇したp53の核移行を阻害し、アポトーシスを抑制するメカニズムを有していると考えられる。(Takemoto et al.2004.J Gen Virol,85,869-79)
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Research Products
(1 results)