2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J83102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 敏幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 波面合成法 / 音場再現 / 主観評価 / 定位感 / 空間印象 / 空間符号化 / 音源抽出 |
Research Abstract |
近年,遠隔会議システムや遠隔アンサンブルシステムなどの高臨場感システムの研究が行われている.このシステムが実現されると,従来のテレビ電話や5.1chシステムなどに比べて相手との場の共有感,一体感が高まるようになるため,会議の進行がより円滑になったり,合奏しやすくなったりすることが可能になると期待されている. このような高臨場感システム実現する手段としては様々なものがあるが,私はホイヘンスの原理による波面合成法に着目し,波面合成システムの実用化について研究を行ってきた. 第一の課題として波面合成システムを実現するスピーカアレーについて検討した.波面が物理的にどれくらい精密に合成されているかを基準とした場合には,必要なスピーカの数は非現実的な値になってしまう.そこで,私は人が音を聞いて違いを感じるかどうかに着目し,聴覚上必要なスピーカの数について検討した.まず,スピーカの数が音の定位感に及ぼす影響を検討するために主観評価実験を行ったところ,定位感を再現するには24個のスピーカが必要であることが分かった.次に,スピーカの数が空間印象に及ぼす影響を検討するために主観評価実験を行ったところ,6個以上スピーカがあれば十分に空間印象を再現できることが分かった.これら2つの実験の結果,24個というかなり現実的な数でも原音場と同じようなじる定位感や空間印象を表現できるということが分かり,波面合成システムの実現可能性を示すことができた. 第2の課題として波面合成システムを遠隔で実現する際の伝送方法について検討した.一般的にはシステムに必要とするチャネル信号の数は従来のシステムと比べると非常に多いので,伝送情報を圧縮する必要が生じてくる.そこで,私はチャネル信号の中から音源の信号を抽出して伝送することにより,伝送情報量をチャネルの数から音源の数に削減する空間情報圧縮手法を提案した.提案手法の有効性を検証するために主観評価実験を行ったところ,圧縮による音の歪みは聞き取れない程度であることが分かり,音場伝送手法の実現性を示すことができた.
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Research Products
(1 results)