2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J83404
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
佐藤 純子 政策研究大学院大学, 政策情報研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 同盟通信社 / 国際通信社 / ナショナル・ニュース・エージェンシー / 樺山愛輔 / 情報政策 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、同盟通信社、国際通信社、新聞連合社の事業報告書類を比較検討した。大正期に関しては、「樺山愛輔関係文書」の国際通信社関連史料の分析から、通信社の経営が国際通信社創設(大正3年)当時から外国為替の影響を受けていたこと、また当初の同社支配人(ジョン・ラッセル・ケネディー)と、国際通信社社長や日本人従業員の間には、経営方針に相違があったことが明らかとなった。通信社の経営が外国為替変動の影響を受けることは、大正、昭和期を通じて恒常的な問題であったという成果を得た。昭和期については、本年度、『情報局関係資料』(柏書房)を購入し、昭和戦前期、戦中期の情報政策を検証した。通信社の発信情報の分析は、各国新聞類、国内新聞紙から収集、調査する必要があるが、その基礎資料として『情報局関係資料』の検討から、国内の新聞統制や新聞統合の実施状態、南方占領地域における新聞発刊、情報統制、さらに各国に対する宣伝の実態が明らかとなった。また、政策研究大学院大学COEオーラル・政策研究プロジェクトにおいて冊子化を担当した『八木正男(元駐インドネシア大使)オーラルヒストリー』からは、情報局総裁秘書官の実務や、戦後の共産圏における情報活動が示唆され、『斎藤彰(読売新聞・元アメリカ総局長)オーラルヒストリー』からは、特派員の情報収集方法の一端が示された。戦後の為替政策に関しては、戦後史料研究会に参加し「木内信胤関係文書」の理解を深めた。 なお、昨年度(平成16年3月末)刊行された「「ナショナル・ニュース・エージェンシー」の設立論-岩永裕吉による通信社論の考察-」(『お茶の水女子大学人間文化論叢』6巻)は、メディア史研究会会員より、曖昧な位置付けしかなされていない「ナショナル・ニュース・エージェンシー」を定義づけるものとして評価を得た。本年度は「同盟通信社の海外情報網-特派員人事と外務省情報政策」(『メディア史研究』16号)が刊行された。
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Research Products
(1 results)