2003 Fiscal Year Annual Research Report
Mcm10蛋白を中心とした真核生物染色体DNA複製フォークの分子ダイナミズム
Project/Area Number |
03J83905
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 義雄 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 染色体DNA複製 / FRET / 一分子イメージング / OriC / ARS / 複製フォーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、FRET (Fluorescence Resonance Energy Transfer)の原理を応用した1分子蛍光イメージング法を用いて、未だ不明な点が多い真核生物染色体DNA複製開始初期過程におけるDNAの構造変化を詳細に解析することである。 DNA複製が開始するには、DNA上の複製開始点として機能する配列に特異的な複製開始因子群が働きかけ、その二本鎖DNA構造をゆるめる反応を起こすことが必須であると考えられている。大腸菌の複製開始点oriCでは、開始因子であるdnaA蛋白質がdnaA-boxと呼ばれる配列に結合し、これらが集合体となり、まわりにDNAが巻き付いた構造をとる。この複合体形成の結果、結合部位に隣接するAT-rich配列が緩み、これが引き金となってDNAヘリカーゼが二本鎖DNAの間に入り込むと考えられている。 本研究では、はじめにin vitroにおいて非常に効率的なDNA複製系が確立されている大腸菌を用いて、一分子蛍光イメージング法でDNAの構造変化が解析可能な実験系の構築を試みた。まず、Cy3、Cy5それぞれ二種類の蛍光色素をAT-rich領域上の様々な位置に導入した蛍光オリゴDNAを構築し、蛍光イメージアナライザー、及び全反射顕微鏡の下でそれぞれの蛍光強度の変化を解析した。その結果、DNA上の二種類の蛍光色素の距離に応じて、エネルギー転移効率(FRET効率)が劇的に変化することを見出した。次に、分子クローニングの手法を用いて、AT-rich領域に蛍光色素を導入した蛍光oriCプラスミドを構築し、全反射顕微鏡の下で観察した。その結果、構築した蛍光oriCプラスミドにおいても、エネルギー転移反応(FRET)が観察可能であった。今後、蛍光oriCプラスミドDNAと複製開始反応に必要とされるdnaAタンパク質を反応さることで、DNAの構造変化に伴ったFRET効率の変化を検出したいと考えている。加えて、真核生物染色体DNA複製初期過程におけるDNA構造変化についても、出芽酵母の複製開始領域ARS (Autonomous replication sequence)を含む蛍光プラスミドDNAを用いた実験系で解析したいと考えている。
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Research Products
(1 results)