1992 Fiscal Year Annual Research Report
タンガニイカ湖・琵琶湖両生態系の多様性.弾力性と環境変動
Project/Area Number |
04044088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川那部 浩哉 京都大学, 理学部, 教授 (60025286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MULIMBWA N′s ウビラ研究所, 研究員
MBOKO S Keit ウビラ研究所, 研究員
MSHOMBO mude ウビラ研究所, 研究副主任
GASHAGAZA M ウビラ研究所, 研究主任
成田 哲也 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (40025440)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
中西 正己 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (60025434)
和田 英太郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40013578)
白木原 国雄 長崎大学, 理学部, 助教授 (90196618)
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Keywords | タンガニイカ湖 / 琵琶湖 / 魚類群集 / 種内・種間関係 |
Research Abstract |
タンガニイカ湖北部の沿岸域に生息しているシクリッド魚類について、水中の直接観察により、種内・種間関係および群集構造の違いについて調査を行った。例えば、口内保育型のシクリッド類の繁殖は午前中に行われることが多く、従って繁殖行動の盛んな午前とそれの少ない午後とでは、さまざまな種内・種間関係の様相に違いがあることが示唆された。仔魚を保護する習性をもつシクリッド類では、親に守られている仔魚の群れに、同種の他の親の仔魚あるいは他種の仔魚が混入しており、その仔魚の混入の度合や種の組合せについて、各種の繁殖習性との関係において解析を進めている。貝殻を巣として利用しているシクリッドでは、巣材としての貝殻の資源量が多い所では雄が小型になる。それは雄が貝殻を運んで集める必要がなく、かつ小型の方が早く繁殖に参加できるなどの理由によると考えられた。なお、貝殻の資源量およびその質は、埋没や石灰藻による固着、および繁殖や摂食などの魚類による貝殻の利用様式によって異なっている。また、色彩に濃淡の2型があるシクリッド類では、その色彩は生息場所の陰影と対応しており、カモフラージュのためと考えられた。 一方、沖合いに住むニシン科魚類(ダカーラとミケケ)の成長についてELEFANを用いて解析した結果、以前の解析結果よりもはるかに低い成長率が得られ、再検討が必要となった。 琵琶湖沿岸部では、シクリッド類と同様に仔魚を保護するオオクチバスについての水中の直接観察を行い、5〜7月の繁殖期において卵や仔魚の大きさが小型化することがわかり、本種の繁殖習性との関係において解析を進めている。また、近年琵琶湖に侵入してきたヌマチチブと、類似した生活様式をもつ在来のヨシノボリ類との種間相互作用について調査を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] KAWANABE,H.,Kwetuenda,M.M. & Gashagaza,M.M.: "Ecological and Iimnological Studies of Lake Tanganyika and its adjacent regions between African and Japanese scientist." Mitt. Int.Verein.theor.angew. Limnol.23. 79-83 (1992)
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[Publications] SHIRAKIHARA,K.,Use K.,KAMIKAWA,S. & Mambona,W.B.: "Population changes of sardines in the northern Lake Tanganyika" Afr.Stud. Monogr.
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[Publications] 遊磨 正秀: "タンガニイカ湖における魚類の共存様式" さまざまな共生(大串隆之編、平凡社). 53-70 (1992)
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[Publications] YUMA,M.: "Competition and cooperatives in Tanganyikan fishe communities" Mutualism and Community organization (Kawanabe,H.Cohen,J. & Iwasaki.,Oxfors Univ.Press). 213-227