1993 Fiscal Year Annual Research Report
身体障害者の冬期間における屋外移動手段に関する研究
Project/Area Number |
04404058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金田 清志 北海道大学, 医学部, 教授 (60000957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白土 修 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (20206296)
但野 茂 北海道大学, 工学部, 助教授 (50175444)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
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Keywords | 冬期間用車椅子 / 身体障害者 / 脊髄損傷 / 寒冷暴露 / 自律神経 / リハビリ工学 |
Research Abstract |
本年度の研究は、以下の2つに大別される。 1)冬期間における脊損者の屋外移動手段に関するアンケート調査から。寒冷下での外出時には、身体的変調を生じる者が多いことが判明した。要因を解明するために寒冷暴露脊髄損傷者の自立神経に及ぼす影響を調査した。人工気象室を利用し、常温(24℃)の前室から低温(湿度50%、温度は10℃、0℃、-10℃の3段階に設定した)の環境下に被験者を移動させ寒冷に暴露し、血圧、下肢血流、体温の変化を測定した。被験者は両下肢を露出した状態でストレッチャーに仰臥位にて固定した。その結果、健常者では寒冷暴露と同時に下肢血流量は急激に減少し、下肢の体表温度も低下した。再度常温に暴露すると徐々に血流・体表温度とも回復する経過を示した。しかし、脊損者においては寒冷暴露によっても下肢血流量は減少せず、さらに体表温度は寒冷暴露によって低下するものの常温室への移動では速やかに回復する傾向を示した。この現象は麻痺の程度によっても異なり、現在寒冷暴露時間による影響や麻痺のレベルによる違いについて調査中である。 2)冬期間用車椅子の試作車として前輪駆動型車椅子を開発した。従来型伝導車椅子の中でのキャスターメカニカル制御タイプとフリーキャスタータイプ、さらに前輪駆動試作車を対象とし通常路積雪路で走行試験を行った。同時に車椅子のシートの下に加速度計を設置し走行時の安定性につき評価した。その結果、直線走行において通常路での3者の違いがほとんど無いのに対し、積雪路では試作車の加速度、最高速度が高かった。回転性能は試作車では後輪車ステアリングとなる為、回転半径が大きくなる傾向にあった。登坂能力は積雪路では試作車の走行能力が高かった。圧雪状態では3タイプとも比較的安定した走行性を示したが、軟雪路では試作車の走行性が優れていた。坂道走行試験では、圧雪路面において試作車のコントロール性能が最も優れていたが、アイスバーンでのコントロールは何れの車種でも不可能であった。現在データを詳細に解析中である。
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