1994 Fiscal Year Annual Research Report
国連の永久凍土利用による国際植物遺伝子銀行設立計画における種子貯蔵条件の基礎研究
Project/Area Number |
04405001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江刺 洋司 東北大学, 理学部・植物園, 教授 (40006002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 宏 東北大学, 理学部・生物学科, 助手 (10221128)
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Keywords | 遺伝子銀行 / 種子貯蔵 / 種子劣化 / 揮発性物質 / アルデヒド炎 / カルボニル化合物 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度になることで、研究目的を達成し、纒めを行うために、研究を二つの面から進めた。第一の方法は、従来の研究から種子の劣化は湿度によって異なる経路を通って進行すること、通常の遺伝子銀行で行われている乾燥状態でも起こる種子の劣化は、乾燥下でも生成されるアセトアルデヒドを中心とする種々のカルボニル化合物の蓄積に主たる原因があることが明らかにされていたので、アセトアルデヒドの生成を停止させることが、種子の寿命を延ばすと考え、この立場から種子の劣化を促す要因と考えられるアセトアルデヒドの生成停止温度の決定を試みた。そのためには異なる湿度下で前処理した種子をアセトアルデヒドと共に種々の温度条件下で貯蔵し、そのエタノールへの変換率を測定することでアセトアルデヒドの蓄積状況から判断することにした。その結果、澱粉種子では-15℃で、一方脂肪種子は-30℃でアルコール脱水素酵素の活性が停止することが判明し、植物遺伝子の長期保全のために汎用性のある条件は、-30℃を確保することにある事を明かにした。二つめは、しからばカルボニル化合物は如何なる仕組みで種子の劣化を誘発するのかについての調査を行ったことにある。この仕組みとしては、カルボニル基が種子内の機能性蛋白質中のアミノ基とシッフ反応で蛋白質付加物を作り、それが蛋白質の変性となって機能を失い、その結果として種子の劣化をもたらすと推定された。そこで、その事を証明するために、BSAとアセトアルデヒドの結合物質を抗原としてウサギに注射して抗体を作り、抗原抗体反応を用いる手法によってアセトアルデヒド処理種子の速い劣化が、それによる蛋白質の修飾に伴って進む事を明らかにすると共に、乾燥状態でも自然に進行する種子の劣化も、同様に主としてアセトアルデヒドと蛋白質の結合によるその変性に由来していることを明かにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Zhang,M.他3名: "A mechanism of seed detein oration in relation to the volatils compounds evolved by dry seeds" Seed.Sci.Research. 4. 49-56 (1994)
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[Publications] Hasegawa,R.他3名: "Presence of β-cyanoalanins synthase in unimbibed dry seeds and its activation by ethylene during pre-germination" Phycial.plant.91. 141-146 (1994)
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[Publications] Zhang.M 他4名: "Enzymatic conversion of volatile metabolites in dry seeds during storage" Pl.& cell phycial.36. 157-164 (1995)
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[Publications] Hasegawa,R.他4名: "The presence of two types of β-cyanoalanine synthase in germinating seeds and their responses to ethylene" Phycial,plant.92(印刷中). (1995)
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[Publications] Hasegawa,R.他4名: "Possible involvement of ethylen-activated GAS in the regulation of cocklebur seed germination" J.Exp.Botany.46(印刷中). (1995)
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[Publications] Zhang,M.他4名: "GC-MS ideutification of volatile compounds evolved by dry seeds in relation to storage conditions" Seed Sci Technology. 25(印刷中). (1995)
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[Publications] Esashi,Y.他5名: "Fifth International Workshop on Seeds university pierre et Marie Curie 出版" Eudogeuously evolving gases during seed storage and their effects on seed longevity, 771-779 (1993)