1994 Fiscal Year Annual Research Report
障害者=当事者の自立生活ならびに在宅福祉サービスの実態と意識に関する実証的研究
Project/Area Number |
04451034
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Research Institution | TOKYO GAKUGEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 益男 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50014824)
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Keywords | 当事者 / 自立生活 / 在宅福祉サービス / 普遍主義的サービス / 選択的サービス / ニード / 構造 / ノーマライゼーション |
Research Abstract |
(1)平成4年度に実施した調査は、昭和57年度〜59年度に実施した調査と合わせ、ほぼ10年間の時系列的分析をするとともに、平成5年度に実施した調査の最終分析を行い、前者を「[I]地域住民の生活と福祉に関する調査報告」、後者を「[II]在宅福祉サービスに関する調査報」として最終報告書にとりまとめた。 (2)「[I]地域住民の生活と福祉に関する調査報告」では、八王子、町田両市に在住する重度身体障害者(肢体不自由者)、一般の地域住民および重度身体障害児(肢体不自由児)の父母の三層に関する平成4年度実施の調査(今回調査)の分析をするとともに、それと、昭和57年度〜59年度実施の調査(前回調査)との比較分析を行った。その結果、所得階層をはじめとする生活構造の基本的な指標においては、全般的に明らかに豊かになったが、住居に関する条件などでは、当事者は余り変りはなかった。また、意識の面では、今回調査が郵送形式をとったことからくる限界によるためか、三層とも明らかに明確な回答を避ける傾向があったが、とくに、家族生活に関する意識では三層それぞれに特徴的な変化がみられた。さらに、多変量解析の結果も、とくに当事者の意識の変化は明らかで、総じて、この10年間の当事者の運動の展開との関係で、その生活と意識の変化は注目すべきことであった。 「[II]在宅福祉サービスに関する調査報告」では、当事者主体の団体は明らかに他の組織形態の団体よりも、より重度、重症のひとたちの介助も、また、より広範なニードに対応したサービスを実施していること、公社方式をとる団体が、こうした面での対応ではこれに次いでいること、さらに、従来の専門家による判定とは異なった判断で現実の在宅福祉サービスは実施されていること、などが明らかとなり、普遍主義的サービスへの可能性が確認される一方、重度・重症の人に対するサービスのあり方や、地域における医療・看護・保健の領域との連携等の点では、わが国の現状は、先進国に比して、未だ不十分であり、真のノーマライゼーションにとって、課題を残すものであることが明らかとなった。しかし、調査の目的・方法・仮説は根元的に検証された。
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Research Products
(1 results)