1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451069
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小林 忠雄 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助教授 (00215336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助教授 (80068915)
福田 アジオ 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (60120862)
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Keywords | 都市民俗 / 伝統都市 / 近代化 / 輸入文化 / ライフスタイル / 葬墓制 / 養蜂技術 / 自然食品 |
Research Abstract |
本年度は予定した調査対象地域における予備調査を実施したが、調査地の都合や勤務の関係から個別の調査を細かく行い、従って内容においての変更があった。 研究代表者の小林は主として岩手県盛岡市・遠野市や金沢市長坂町、長野県松本市、高知県南国市、熊本県人吉市などを重点的に調査し、都市民俗事象の生成に関する聞き書き、文献の収集、写真撮影を行った。 その結果、これらの伝統都市(旧城下町)では、明治以降の近代化がかなり早い時期に進み、住民の入れ替わりとともに様々な西洋の輸入文化による影響と、新たなライフスタイルの台頭現象に注目された。特に盆地に位置する遠野市や人吉市では、新しい物資や情報の流入による変化が著しく、同族・親族ごとに民俗が異なり、また近代化への関心が高く、都市的な要素を早くから内包した性格をもっている。 個別の事象では正月や盆行事の儀礼の在り方の変化に注目され、また近代的産業(印刷業など)による都市的民俗事象の生成に興味深い問題が見出された。 研究分担者の福田は農村の変容過程に着目し、特に本年は従来からフィールドの対象としている滋賀県水口町および八日市市における葬墓制の変容過程の実態調査を行った。特に墓の形態には急激な変化が生じていることに大きな問題を見出した。 同じく篠原は主として長崎県対馬における養蜂技術と流通ルートの実態を調査し、特に製品の消費都市との関わりについて大阪を対象とした販売地域にも足を踏み入れ、自然食品と環境認識の問題に注目した。 その他、異なった領域の民俗学研究者に研究協力を依頼し、熊本県人吉市をはじめ、岩手県遠野市、沖縄県宮古における共同調査および予備調査を実施し、来年度の本格調査に備えた。
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