1992 Fiscal Year Annual Research Report
X線散乱及び中性子スピンエコー法によるプラスチック結晶の分子配向相関
Project/Area Number |
04452044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿知波 紀郎 九州大学, 理学部, 教授 (60027456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 正明 九州大学, 理学部, 助手 (80235499)
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Keywords | プラスチック結晶 / ブロモアダマンタン / 分子配向 / 分子回転運動 / マキシマムエントロピー / 電子密度分布 / 中性子非干渉性準弾性散乱 / かご分子 |
Research Abstract |
1)Br-アダマンタン結晶オーダー相、セミオーダー相の結晶構造を4軸X線回折計により決定し、プラスチック相については、単位胞内の電子密度分布をマキシマムエントロピー法により得た。電子密度分布によれば、'雪だるま'型分子のBr原子の双極子配列は立方結晶〈100〉方向の等価な6方向にランダムに分布していることを見いだした。 一方、アダマンタン'かご'分子は、主軸まわりにほぼ自由配向していることを見いだした。 2)オーダー相では、双極子配向により単位胞は、単斜晶系となる。 単位胞内の4分子の双極子配向は互いに90度である。これは、予想どおり、Br原子同志のクーロン斥力によりたがいに避けあう力が働いている証拠である。 3)然るに、プラスチック相では、Br同志の平均位置は、近づいている。 これは、分子同志の配向が動的に動き回り、各Br同志は同時には、かち合わないためである。 4)プラスチック相分子配向の動的性質を調べるために、Br-アダマンタンの中性子非干渉性準弾性散乱のエネルギー解析をKEKのLAM80中性子スペクトロメーターをもちいて行なった。 その結果プラスチック相では、半値幅0.6meVの特徴的準弾性散乱を観測した。 さらに半値幅の波数ベクトル依存性により、分子配向運動は単純な拡散運動では説明できないことが分かった。 5)以上の結果を、1992年日本物理学会分科会25a-ZC-3及びアジア結晶学会199216X-3において口頭発表をおこなった。 さらに、九州大学分析センター報告1992年10号p41-p49に発表した。
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Research Products
(1 results)