1994 Fiscal Year Annual Research Report
X線散乱及び中性子スピンエコー法によるプラスチック結晶の分子配向相関
Project/Area Number |
04452044
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
阿知波 紀郎 九州大学, 理学部, 教授 (60027456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 正明 九州大学, 理学部, 助手 (80235499)
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Keywords | プラスチック結晶 / 配向グラス / 分子配向相関 / 時間進行X線回析 / 時間進行分子配向相関 |
Research Abstract |
プラスチック結晶として知られるシアノ・アダマンタンは室温では分子配向が動的に乱れたプラスチック相(立方晶)である。低温にクエンチすると単結晶のまま分子配向が凍結したグラス相が得られた。プラスチック相とグラス相は、ともに立方晶に属す。最終年度は4軸型X線回析計によりX線散漫散乱の測定を単結晶について行い、分子配向相関を調べた。配向グラス状態の温度をグラス転移温度以上の一定温度に保つと、2倍単位胞、4倍単位胞構超格子の逆格子位置に散漫散乱ピークが成長し、分子配向秩序の成長が見られた。 プラスチック相や配向グラス相では、シアノ・アダマンタンの分子主軸が結晶の〈100〉等価6方位をランダムに配向する。配向グラス相からの部分分子配向秩序相では、分子の回転配向が層状構造にC軸に沿って↑↓←→と重なる。この部分秩序配向の成長過程は単純指数関数的に進行する。安定秩序相は単斜晶系に属するので立方晶部分配向相は準安定相であり十分時間が経過すると立方対称性はくずれる。立方晶系における分子配向秩序の進行は周囲に歪場をつくる。この歪場は4倍周期構造の超格子位置が高等価逆格子位置程大きい実験事実に反映されている。 過冷却配向グラス相の立方晶部分配向回復相のダイナミックスは大変興味ある。中性子非干渉性非弾性散乱をシアノ・アダマンタン配向グラス緩和過程において原研3号アグネスを用いて行い、準弾性散乱領域に続く比較的低エネルギー非弾性散乱強度の分子配向秩序進行に伴う増大を観測した。配向秩序進行に伴う2-6meV領域の低励起モードの増大は、緩和進行が配向秩序化により促進されるにしたがって、配向グラスの障壁の高い局所ポテンシャル歪場が緩和され、低エネルギー励起が可能になることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高倉 洋礼: "プラスチック結晶1-プロモアダマンタンの分子配向" 九州大学中央分析センター報告. 10. 41-49 (1992)
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[Publications] H.Takakura: "Phase transition and crystal structures in 1-Br-Adamantane" AsCA'92(The inaugural conference of the Asian Crystallographic Assoclation. 15B-1 (1992)
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[Publications] H.Takakura: "Molecular orientation in plastic crystal of 1-bromoadamantane" Acta Cryst.A 49 Supl.PS12.02.09. (1993)