分子動力学シミュレーションを基礎とする金属多結晶材料の強度評価法の研究

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04452122
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 北川 浩 大阪大学, 工学部, 教授 (30029095)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中谷 彰宏 大阪大学, 工学部, 助手 (50252606) ; 仲町 英治 大阪大学, 工学部, 助教授 (60099893)
• Keywords: 分子動力学法 / 金属多結晶体 / 計算機シミュレーション / 材料強度評価 / 分子軌道計算 / バンド構造解析 / 結晶塑性モデル / 転位運動

Research Abstract

1.分子動力学法による計算機シミュレーションの結果を適切かつより効率的に評価できるように,画像データ処理のための環境を整えた.それを駆使することにより,昨年度に引き続き,(1)き裂の先端の転位構造のダイナミックスの検討を行うとともに,(2)転位運動の温度依存性,(3)粒界構造と空孔,転位などの格子欠陥との相互作用,(4)粒界近傍での拡散特性の温度依存性等の検討を行った
2.連続結晶塑性モデルを,転位運動の現象論的カイネテックスを組み込めるように精緻化し,有限要素解析手法によって局所すべり変形の粒界による拘束特性の中心に検討を加えた.とくに,双結晶粒界を対象にして局所的な変形拘束の結果生じるすべり帯の伝播現象について解析を行い,その結果と原子モデルシミュレーション解析との比較を通じて連続体モデルの実体性について検討を行った.
3.超格子法によるバンド構造解析にもとづく第一原理計算により,昨年度に引き続きアルミニウムの原子間相互作用の評価を行うとともに,欠陥構造の局所特性を正確に検討する可能性を開くために,分子軌道法をベースとするクラスタ構造解析を援用する手法の開発を行った.
4.走査型トンネル顕微鏡により,HOPG材表面の原子レベル段差構造や表面き裂の原子構造の正確な計測を実施した.

Research Products

• [Publications] 北川浩,中谷彰宏,渋谷陽二: "結晶構造体に対する計算力学モデルの検討(第3報,モードIIき裂先端場の原子構造の解析)" 日本機械学会論文集(A編). 59巻564号. 1834-1841 (1993)
• [Publications] Kitagawa,H.,Nakatani,A.,& Shibutani,Y.: "Molecular Dynamics Study of Crack Initiation" Proceedings of IMMM'93. 19-26 (1993)
• [Publications] 中谷彰宏,北川浩,渋谷陽二,田中敬子: "き裂先端からの転位生成の分子動力学解析(転位発生基準の温度依存性について)" 日本機械学会第6回計算力学講演会講演論文集. No.930-71. 185-186 (1993)
• [Publications] 中谷彰宏,北川浩,渋谷陽二: "き裂先端からの転位生成の分子動力学解析(転位線のキンクの影響)" 日本機械学会関西支部第252回講演会講演論文集. No.934-4. 13 (1993)
• [Publications] 北川浩,渋谷陽二,中谷彰宏,齋藤賢一: "分子動力学法による粒界構造と格子欠陥の相互作用の検討" 日本機械学会平成5年度材料力学部門講演会講演論文集. No.930-73. 363-364 (1993)
• [Publications] 北川浩,渋谷陽二,中谷彰宏,尾方成信,前川幸弘: "Al単結晶中の欠陥構造の研究(第一原理計算を基礎とする解析)" 日本機械学会平成5年度材料力学部門講演会講演論文集. No.930-73. 379-380 (1993)