1994 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶X線解析による糖とアミノ酸間の基本的な分子認識様式の解明
Project/Area Number |
04453158
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平山 令明 東海大学, 開発工学部, 教授 (70238393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 功 東海大学, 開発工学部, 助手 (60238524)
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Keywords | 糖-アミノ酸相互作用 / 分子力学計算 / 単結晶X線解析 / 分子認識 / 結晶化 |
Research Abstract |
今年度は、単結晶X線解析が行われている蛋白質中における糖とアミノ酸の相互作用様式の解析を行った。立体構造データはBrookhaven National Laboratoryから配布されているProtein Databank(PDB)を用い、解析にはリレーショナルデータベースシステムIditis(Oxford Molecular)および自作のプログラムを用いた。解析は全て、グラフィックスワークステーションIris上で行った。検討に用いた蛋白質は72種である。解析の対照に選んだ糖はN-acetyl-glucosamine、arabinose、fucose、galactose、glucose、mannose、sialicacidおよびzyloseであり、これらの糖の非水素原子と5Å以内で相互作用している蛋白質中の非水素原子について網羅的に解析した。相互作用の様式は、大きく分けて、水素結合、非結合相互作用および糖と芳香族環の相互作用に分類した。水素結合の判断基準は、水素結合供与体および受容体になり得る原子間の距離が3Å以内であることとした。 各種の相互作用をまとめ、糖の結合部位には共通な特徴があるかどうかを検討した。その結果、結合部位には一般的な特徴があり、おおよそ二層構造を取っている事がわかった。糖が結合した内側の層は親水的であり、糖とアミノ酸の間の水素結合の大半はこの層の中に存在する。アミノ酸は殆どの場合側鎖で糖と水素結合している。第一層の周りには疎水的な層があり、ここには非結合相互作用に関与する多くの疎水性残基が含まれる。以上の一般的な特徴に加えて、各糖ごとの特徴も検討の結果明らかになった。例えばmannoseの場合、水素結合に関与する第一層を形成するアミノ酸は殆ど疎水性アミノ酸であり、上記の一般的な特徴からはずれた糖結合部位を有する。以上より、蛋白質中において糖とアミノ酸は各糖に応じた様式で相互作用をしていることが今年度の研究から明らかになった。また、相互作用の様式とアミノ酸の種類との相関等に関する知見も得られた。
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Research Products
(1 results)