1993 Fiscal Year Annual Research Report
RAPDマーカー法によるサクラ属果樹の進化に関する研究
Project/Area Number |
04454053
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 雅夫 神戸大学, 農学部, 教授 (60240313)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 啓一 神戸大学, 農学部, 助手 (60252798)
尾崎 武 神戸大学, 農学部・附属農場, 助教授 (50031183)
|
Keywords | 分子生物学 / 系統進化 / サクラ属 |
Research Abstract |
本年度は、モモ亜属におけるRAPDマーカー法の有効性を検討するとともに、スモモ亜属のDNA変異の検出を行ない、類縁関係を検討した。 モモ、アーモンドの野生種と栽培種について、RAPDマーカー法の適用を検討した結果、多型の出現頻度が高く、識別が容易なプライマーを選択することにより系統分類が可能と思われた。クラスター分析の結果、モモ亜属ではモモ(P.persica)とその近縁野生種の2群に大別された。P.persicaはバンドの共有率が高く、遺伝的変異は小さいことが認められたが、近縁野生種はバンドの共有率が低く遺伝的変異に富んでおり、P.persicaとゲノムの類似度が明らかに異なっていた。ネパール、ブータンに自生する光核桃は、種内変異は小さいが、モモ、ノモモ、アーモンドなどとはかなり異なっていた。 スモモ亜属については、アンズとスモモを中心に系統分類を試みた。アンズは35品種を供試し、分析した結果、総数で58個のRAPDsが検出され、ヨーロッパ・西アジア品種群と日本の品種群とに大別された。種内の平均遺伝距離は小さいが、例外として白杏、仁杏、アルパインプラム、モウコアンズなど特異のものが認められた。スモモは種内の平均遺伝距離は大きく、ニホンスモモとヨーロッパスモモの品種群に大別された。 次年度は、サクラ亜属の類縁関係を検討するとともに、モモ、スモモ、サクラなどサクラ属全体の系統進化について研究を進めたい。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Shimada,T.et al.: "Classification and parent determination by RAPD in mume." Techniques on Gene Diagnosis and Breeding in Fruits Trees. 77-80 (1993)
-
[Publications] 島田 武彦 他: "モモ系統分類におけるRAPD分析法の有効性について" 育種学雑誌. 43(別2). 213 (1993)
-
[Publications] 島田 武彦 他: "RAPD分析法によるウメの品種分類" 園芸学会雑誌. 別1. 8-9 (1993)
-
[Publications] 島田 武彦 他: "RAPD分析法によるスモモ系統分類への適用" 園芸学会雑誌. 別2. 130-131 (1993)
-
[Publications] Shimada,T.et al.: "Phylogenetic studies on mume cultivars (Prunus mume Sieb.et Zucc.) in Japan" International Symposium on Improvement of Horticultural Crops,Held Jointly with the Peach Congress. 259 (1993)