1992 Fiscal Year Annual Research Report
日本住血吸虫症の防御免疫発現機構に関する分子免疫学的研究
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04454191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 荘明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 隆久 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (30143514)
松本 直樹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40239108)
北 潔 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (90134444)
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Keywords | 日本住血吸虫症 / 防御免疫 / モノクローナルIgE / パラミオシン / ワクチン / リスザル |
Research Abstract |
1.マウスにおける再感染防御機構の研究:免疫担当細胞やサイトカインの役割を明らかにする目的で、免疫不全マウスであるSCIDマウスにおける日本住血吸虫の感染実験を行なったところ、本吸虫の性的成熟が遅延することが判明した。このことは、住血吸虫がその発育に宿主の免疫応答をむしろ自己に有利に利用している可能性を示唆している。 2.リスザルにおける防御免機構の解析:放射線照射した日本住血吸虫セルカリアでリスザルを免疫し、8週後正常セルカリアで攻撃感染を行ない、その8週後に剖検し全虫体を回収する一方、病理組織学的検討を加えた。その結果、攻撃感染のみの対照群と比較し、免疫群では回収虫体数並びに肝組織障害の著しい減少が認められるとともに、虫卵結節の構成細胞に関し対照群では好中球の浸潤が著しいのに対し、免疫群ではリンパ球及び好酸球の浸潤が主体であり、リスザルは住血吸虫症ワクチン開発のための良いモデルとなるものと考えられた。 3.モノクローナルIgE抗体(SJ18ε.1)の認織する防御抗原遺伝子のクローニング:日本住血吸虫成虫のmRNAよりcDNAを合成し、λgt11をベクターとしてcDNAライブラリーを作成した。SJ18ε.1標的分子のアミノ酸配列からプライマーを設計してcDNA PCRを行ない、増幅されたDNA断片にdigoxigeninを標識してスクリーニング用のプローブとして使用したほか、SJ18ε.1によるスクリーニングも行なった。得られた陽性クローンについてサブクローンを行ない、それぞれについて塩基配列の決定を行なった。その結果、陽性クローンの塩基配列は、コード領域については既知のマンソン住血吸虫パラミオシンcDNAと90%以上の相同性を示した。さらに、陽性クローンを断片化し、発現ベクターに組み込み、融合蛋白を得てSJ18ε.1の反応性を解析した結果、そのエピトープは日本住血吸虫パラミオシンの中央部分に存在することが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Janecharut,T.: "Effects of recmbinant tumour necrosis factor on antibody-dependent eosinophil-mediated damage to Schistosoma japonicum larvae." Parasite Immunology. 14. 605-616 (1992)
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[Publications] 小島 荘明: "原虫・寄生虫疾患のワクチン開発" 臨床検査. 36. 833-837 (1992)
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[Publications] 奈良 武司: "マウスモノクローナルIgE抗体の認識する日本住血吸虫抗原分子のcDNAクローニング" 寄生虫学雑誌. 42(増). (1993)
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[Publications] 佐藤 正夫: "リスザルにおける日本住血吸虫に対する防御免疫の誘導について" 寄生虫学雑誌. 42(増). (1993)
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[Publications] Kojima,S.: "Eosinophils in Parasitic Diseases.In Eosinophils: biological and clinical aspects." Makino,S.and Fukuda,T., 452 (1993)