1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70114494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 敏夫 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00126129)
戸辺 亨 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70207596)
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Keywords | 赤痢菌 / ビルレンス / 細胞侵入 / 温度調節 / VirB |
Research Abstract |
赤痢菌は腸管下部に到り腸上皮細胞へ自ら食作用を誘発し,これを介して細胞内に侵入後隣接細胞へ漸次拡散し最終的に血性下痢を惹起する。本菌の細胞侵入は,大プラスミド上にコードされる一群のビルレンス遺伝子群の1つ(ipaBCD)のコードする侵入性蛋白(IpaB,C,D)により行れるが,本蛋白の分泌と侵入性の機序は不明である。又細胞侵入性は本菌の増殖温度(37℃)に依存し発現することが知られているが,その温度調節機構は未だ明らかではない。そこで本年度は以下の3つの研究計画を実施した。 (1)侵入性蛋白IpaBとIpaCの精製を行う目的で,ipaBとipaCを各々発現ベクターへクローニング後,弱毒化赤痢菌に入れ各蛋白の高発現を促し精製を実施した。種々の精製法を試みたが,いずれも30%の部分精製しか成功しなかった。そこで本標品と上皮細胞へ加え,本蛋白の細胞表層への結合や形態変化惹起能を調べたが,いずれも有意な結果を得ることはできなかった。 (2)侵入性蛋白の菌体外分泌に関わる,大プラスミド上の約7kbの領域-5の遺伝子解析と全塩基配列,および産生蛋白の同定を行った。その結果本領域には8ケのビルレンス遺伝子(spaと命名)が1つのオペロンを形成し,そのいずれのspa遺伝子も侵入性蛋白IpaB,C,Dの菌体外分泌に必須であった。 (3)赤痢菌の細胞侵入性温度依存調節は,これまでの研究から大プラスミド上のvirB遺伝子の転写段階に於て行れていることが明らかにされている。そこで今回virBの転写調節に関わる因子の解析を試み以下を明らかにした。virBの転写にはプロモーター領域の上流約100塩基対の領域が必要であった。細胞侵入性を正と負に制御しているVirFとH-NSの蛋白は各々virBプロモーター上流域とプロモーター・オペレーター領域に結合性を有していた。さらにvirB転写が37℃で促進される為には,VirFの結合と共にDNAの負の超らせん構造が必須であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Tobe: "Deregulation of temperature-dependent transcription of the invasion regulatory gene,virB,in Shigella by rho mutation" Mol.Microbiol.in press. (1994)
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[Publications] T.Suzuki: "Identification and characterization of a chromosomal virulence gene,vacJ,required for intercellular spreading of Shigella flexueri." Mol.Microbiol.11. 31-41 (1993)
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[Publications] T.Tobe: "Transcriptional Control of the Invasion Regulatory Gene virB of Shigella flexueri:Activation by VirF and Repression by H-NS" J.Bacteriol.175. 6142-6149 (1993)
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[Publications] N.Nakata: "The absence of a surface protease,Omp T,determines the intercellular spreading ability of Shigella:the relationship between the ompT and kcpA loci." Mol.Microbiol.9. 459-468 (1993)
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[Publications] C.Sasakawa: "Eight genes in region-5 that form an operon are essential for invasion of epithelial cells by Shigella flexneri 2a." J.Bacteriol.175. 2334-2346 (1993)