1992 Fiscal Year Annual Research Report
発癌遺伝子の活性化を指標とした口腔感覚情報の中枢投射様式と情報処理機構の解明
Project/Area Number |
04454465
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
松尾 龍二 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30157268)
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Keywords | 発癌遺伝子 / 口腔 / 感覚 / 中枢中経 |
Research Abstract |
本年度の研究では、脳細胞活動のマーカーとして、発癌遺伝子の1つであるC-fosを選び、C-fosの活性化によって細胞核内に生じるFos蛋白質を免疫組織化学の手法により染色した。口腔感覚刺激としては、味刺激に焦点をしぼった。 ラットの口腔内に種々の味刺激を与え、1時間後にかん流固定し、通法に従ってFos蛋白質を染め出したところ、最後野、孤束核尾側部、結合腕傍核(PBN)、島皮質などに数多くのFos陽性細胞を認めた。本年度は、このうち、PBNについて詳細に検討した。 味刺激の種類によってFos細胞は異なった局在分布を示した。すなわち、食塩水の刺激では内側亜核に、サッカリンでは腹部外側亜核に、キニーネでは外部外側亜核に、そして、塩酸の刺激では外部外側亜核から外部内側亜核にかけて、それぞれFos陽性細胞が局在化していた。このことは、PBNにおいて、味質応答局在性が認められることを示している。 食塩に対する味応答を抑制するアミロライドを作用させると、内側亜核のFos陽性細胞数は、対照群に比べて有意に減少したことから、この部にアミロライド感受性の食塩応答ニューロンが存在することがいえる。 味覚情報を伝える味覚神経を切断した場合のFos陽性細胞の分布を調べた。内側亜核では舌咽神経切断群に比べて、鼓索神経切断群と、鼓索神経+舌咽神経切断群はFos陽性細胞が有意に少なかった。このことから、食塩の味の情報は鼓索神経を経由することがわかった。 次年度以降は、味刺激によるPBN以上の部位でのFos陽性細胞の分布をみることと、味刺激以外の感覚刺激に対する分布を検索する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Matsuo: "Effects of inorganic constituents of saliva on taste responses of the rat chorda tympani nerve" Brain Research. 583. 71-80 (1992)
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[Publications] T.Nagai: "A novel method to analyse response patterns of taste neurons by artificial neural networks" Neuro Report. 3. 745-748 (1992)
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[Publications] T.Yamamoto: "C-fos expression in the rat brain after intraperitoneal injection of lithium chloride" Neuro Report. 3. 1049-1052 (1992)
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[Publications] 山本 隆: "結合腕傍核ニューロンの味応答性C-fos発現" 味と匂のシンポジウム論文集. 26. 29-32 (1992)
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[Publications] 硲谷 哲崇: "甘味抑制物質によるラット炭水化物レセプターの検索" 味と匂のシンポジウム論文集. 26. 21-24 (1992)
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[Publications] 坂井 信之: "味覚嫌悪学習における結合腕傍核内蔵性感覚投射部位の役割" 味と匂のシンポジウム論文集. 26. 141-144 (1992)