1992 Fiscal Year Annual Research Report
全反射強制レーリー散乱装置の試作と液晶基板界面近傍での分子拡散の研究
Project/Area Number |
04555013
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹添 秀男 東京工業大学, 工学部, 教授 (10108194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶川 浩太郎 東京工業大学, 工学部, 助手 (10214305)
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Keywords | 強制レーリ散乱 / 全反射 / 拡散定数 / 液晶 / 基板 / 界面 |
Research Abstract |
本研究では液晶セル中での界面近傍の分子の拡散挙動を研究するための全反射強制レーリー散乱装置を試作することを第一の目的とした。当初の目的通り、おそらく世界で初めての全反射強制レーリー散乱装置をかなり高い完成度で構築できたと思っている。この装置を用いて、一様に配向したネマティック液晶中での棒状染料分子の拡散定数に対する、界面の影響を調べた。この結果、界面ではバルクと比較して速い拡散過程があることが分かった。1つの解釈として、過渡回折格子を書き込むアルゴンレーザーの透過長に依存して励起色素分子密度の場所の依存性ができ、その密度勾配方向への拡散が、全反射強制レーリー散乱によって求まる、界面に対して平行方向の拡散定数を実効的に速くしているという可能性が考えられる。この解釈に対する結論を得るため、アルゴンレーザーの入射を逆方向から行い、同様な測定を行った結果、やはり界面ではバルクと比較して速い拡散過程があることが分かった。このことから界面での速い拡散は本質的なものであることが分かった。このことを確認するために、通常の強制レーリー散乱による拡散定数測定のセル厚依存性を測定した。この結果、2μm厚のセルで速い拡散が観測され、上の結論が確認された。金属など固体表面近傍での不純物原子の拡散では表面近傍の欠陥構造やボイドのために完全結晶中と比べて拡散定数は大きいことが知られている。ネマティックのような流動性のある液晶中でも表面近傍の配向乱れによって同様のことが起こっている可能性が考えられる。今後、ネマティック相中での温度変化、スメクティック相などに測定を広げたい。
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