1992 Fiscal Year Annual Research Report
小腸吸収・分泌機能の絨毛内分化のパッチクランプ研究のための正常極性上皮標本の開発
Project/Area Number |
04557003
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岡田 泰伸 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10025661)
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Keywords | 上皮極性 / 小腸 / パッチクランプ / 絨毛内分化 / スライス |
Research Abstract |
小腸上皮は吸収組織であると共に分泌組織でもある。糖・アミノ酸などのNa^+依存性の能動的吸収は絨毛上部で、C1^-の能動的分泌は絨毛下リーバーキューン腺で行われるものと広く考えられている。ところが最近、このような教科書的見解に強い疑義が指摘されはじめている。この「吸収・分泌機能の絨毛内分化」概念の再検討は、酵素単離細胞を用いて開始され始めているが、単一細胞への分離による極性喪失(例えば刷子縁自身の消失)という困難性に阻まれてきた。本研究の目的は、刷子縁膜・基底側膜極性を完全に保持した哺乳動物の絨毛上皮及び腺上皮の単離標本及びスライス標本の作製法を開発し、この困難性を克服することにある。 本年度は、(1)まず、モルモット小腸よりデイスパーゼを用いて絨毛部上皮細胞を単離したところ、二個から数個の細胞は一列に並んだ状態のものであっても、頂部刷子膜構造が時間とともに失われ、極性を喪失していくことが明かとなった。(2)そこで、反転小腸を高濃度のEGTAを加えたCa-free,Mg-freeリンゲル液に浸して、スターラーアセンブリーを用いて機械的に振動させたところ、比較的早い時間に絨毛上皮がbasementmembraneより遊離した形で、しかも細片化されることなく、丸ごとの上皮として単離できること、そして時間をおくと次第に腺部上皮も丸ごと単離できることが明かとなった。(3)次に、スライサーを用いて成熟モルモット小腸の薄スライス標本を作製することを試みたが、viabilityの高い標本は得られる条件を未だ見いだし得ていない。次年度以降の課題である。
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