1993 Fiscal Year Annual Research Report
局所ドラッグデリバリーシステムによる歯周治療薬の開発
Project/Area Number |
04557081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 哲史 ロート製薬, 研究開発部, 研究員
亀高 茂 ロート製薬, 研究開発部, 課長
三宅 洋一郎 広島大学, 歯学部, 助教授 (80136093)
杉中 秀壽 広島大学, 歯学部, 教授 (70028736)
三木 靖夫 大阪大学, 歯学部, 助教授 (80165993)
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Keywords | 歯周病関連菌 / 抗菌剤 / スパルフロキサシン / 非水ゲル / 歯周ポケット / 生体消失性 / 細菌学的検査 / PCR法 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、各種化学療法剤の歯周病関連菌に対する抗菌力の測定を菌種にFusobacteriumnucleatum(Fn)を新たに加えて行った。Fnに対してはトスフロキサシン、スパルフロキサシン(SPFX)、メトロニダゾールがテトラサイクリン系、マクロライド系の薬剤に比し優れた抗菌力を有していた。昨年度の結果を合わせて検討した結果、スパルフロキサシン(SPFX)を開発LDDS配合抗菌剤として選択した。次にこの難溶性のSPFXと水溶性の塩酸ミノサイクリン(MINO)をそれぞれ2、4、8%の濃度で昨年度開発した非水ゲルに配合しモデル製剤を調製し、薬物の性質の違いによる薬物放出特性を比較検討した。その結果、薬物配合量が2〜8%の範囲ではSPFX配合ゲルは薬物濃度と放出濃度との間に直線関係が認められたが、MINO配合ゲルでは配合量が4〜8%の間で放出速度が急激に速くなった。このことより、乳酸-グリコール酸共重合体を基剤とした非水ゲル製剤からの薬物放出は、薬物の物理化学的特性によって異なることが示唆された。また、SPFXを2%配合した非水ゲル製剤を用いて、非攪拌条件での薬物放出特性を評価したところ、初期にバースト現象が認められたが、配合量の8割が放出されるまでには18日間を要した。このことより、SPFXを配合した開発LDDSは、既存のLDDSよりも長い持続性を有すると考えられた。今後このSPFX配合の開発LDDSの臨床における有用性を検討する予定である。一方、開発LDDSの抗菌効果を検討することを目的として、歯周病原性菌の同定法の改善および細菌学的検査法の臨床的意義について検討を行ってきたが、本年度は、初診時、再評価時およびメインテナンス期の様々な歯周病変において暗視野顕微鏡検査、間接蛍光抗体法およびPolymerase Chain Reaction(PCR)法を応用したDNAプローブ法を用いて各種細菌の検出・同定を行った。その結果、歯周治療により臨床症状の改善が認められなかった部位は、改善が認められた部位と比較して、治療後のSpirochetes,Motilerodsの存在比率およびPorphyromonas gingivalis(Pg)の検出率が高かった。さらにPCR法を応用することによりPgの検出感度が従来の方法に比し約1000倍に高められた。以上のことより、これらの細菌学的検査が歯周病の病態を反映し、開発抗菌剤配合LDDSの有用性の検討を行うに際して有用なであることが示された。また、歯周炎に関する炎症因子の動態を検討することを目的として、歯周病局所の炎症状態を詳細にモニターする方法の開発を行った結果、微量歯周組織よりReverse Transcription-PCR法を応用することにより種々の炎症性サイトカインmRNAの発現を検出できるアッセイ系が確立された。
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