1994 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の分子細胞生物学的特性に基づいた遺伝子診断法の開発とその応用
Project/Area Number |
04557090
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Research Institution | The University of TOKUSHIMA |
Principal Investigator |
長山 勝 徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 英昭 持田製薬株式会社, バイオサイエンス研究所, 主幹
林 英司 徳島大学, 歯学部, 助手 (50173000)
力丸 浩一 徳島大学, 歯学部, 助教授 (40220800)
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / EGFレセプター / p53 / カドヘリン / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
1)昨年度に樹立に成功した口腔扁平上皮癌細胞株4種の分子細胞生物学的特性を検索した。その結果、これら4株はすべて異数性の染色体を有し、軟寒天培地中においてコロニーを形成した。HOC512およびHOC1.19の2細胞株はSCIDマウスに対して造腫瘍性を有していた。また、HOC519およびHOCI-19は、無蛋白培地PF86-1での増殖が可能であった。c-erbB-1遺伝子をサザンブロット法で調べたところHOC512に明らかな遺伝子増幅が認められたが、遺伝子の再配列は明らかではなかった。 2)同一患者の臨床経過とともに現れた4カ所の病変より独立した扁平上皮癌細胞株を樹立した。この癌細胞株の分子細胞生物学的特性の違いを調べることにより口腔癌の転移形成に関する基礎的な知見が得られる可能性が期待される。 3)モノクローナル抗体CPMG-1によって認識される抗原の解析を行った。CPMG-1のエピトープは糖であった。この抗原は、口腔扁平上皮細胞の癌化の過程において分泌が減少している可能性が示唆された。この抗原は、正常口腔粘膜上皮細胞から多く分泌されるが粘膜下結合織由来の線維芽細胞は全く産生していなかった。しかし、免疫染色の結果からこの物質は、上皮下に局在していた。この結果から、この物質が正常上皮が分泌する細胞外基質の1種であることが示唆される。ウエスタンブロットの結果、この物質は、分子量約66,000の糖蛋白であり、エンドグリコシダーゼH処理により分子量は、約63,000となった。今後、この蛋白の遺伝子クローニングを行うことにより、口腔癌の癌化の過程、あるいは浸潤に関する新たな知見が得られる可能性が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 倉郷貫敏: "口腔扁平上皮癌細胞におけるEGFレセプターの過剰発現機構" 四国歯学会雑誌. 1. 49-62 (1994)
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[Publications] 布袋屋智明: "口腔扁平上皮癌細胞におけるE・カドヘリンの発現に関する研究" 四国歯学会雑誌. (印刷中).
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[Publications] 中野孝三郎: "無蛋白培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞の分泌物に対するモノクローナル抗体の作製とその特性" 四国歯学会雑誌. (印刷中).
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[Publications] 林 英司: "4種のヒト口腔癌細胞株の樹立とその性状" 日本口腔科学会雑誌. 44. 47-54 (1995)
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[Publications] Akira Ishisaki: "Identification and characterization of autocrine-motility-factor-like activity in oral squamous-cell-carcinoma cells" International of Cancer. 59. 783-788 (1994)
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[Publications] 力丸浩一: "SCIDマウスを用いた扁平上皮癌のin vivo転移モデルにおけるヒトEGFの影響" 日本口腔科学会雑誌. (印刷中).