1993 Fiscal Year Annual Research Report
GTP結合蛋白質の活性を利用した医薬品の新しいスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
04557107
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Research Institution | The University of Tokyo (Faculty of Pharmaceutical Sciences) |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 薬学部, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝司 帝人株式会社, 生物医学第一研究所, 研究員
星野 真一 東京大学, 薬学部, 助手 (40219168)
櫨木 修 東京大学, 薬学部, 助手 (80142751)
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Keywords | GTP結合タンパク質 / 百日咳毒素 / 細胞膜受容体 / ADPリボシル化 / 情報伝達 / GTPアーゼ |
Research Abstract |
細胞膜受容体刺激の情報は、多くの場合G蛋白質αサブユニット上のGDP-GTP交換反応の促進を介して効果器系に伝達され、その結果諸種の細胞応答が発現する。ハチ毒素から単離されたペプチドのマストパランはG蛋白質を直接活性化することが知られているが、この活性化はG蛋白質を予め百日咳毒素でADPリボシル化することにより抑制された。この知見は、マストパランがG蛋白質に対して受容体刺激と類似の作用をもつことを意味し、G蛋白質の新しい活性化機構の存在を示唆している。 本研究では、マストパランをはじめとする生理活性ペプチドおよび関連の低分子化合物が種々のG蛋白質に与える影響を、受容体-G蛋白質連関、G蛋白質のGTP水解活性などの点から検討した。1.マストパランは、ウサギ好中球細胞膜における化学遊走因子(formyl Met-Leu-Phe;fMLP)の細胞膜受容体への結合を増大させた。2.この増大は、fMLPに対する受容体の結合親和性がマストパランによって修飾されることに起因した。すなわち、通常観察されるG蛋白質と共役した受容体が示す高親和性結合とG蛋白質から脱共役した受容体が示す低親和性結合は、マストパランによって共に中間型の親和性を示す受容体に移行した。3.この新たな結合親和性を有する受容体の出現を反映して、GTP類似体のG蛋白質への結合とGTP水解活性のfMLPによる促進は、マストパランによって共に増強された。以上の知見は、マストパランなどの生理活性ペプチドがG蛋白質を単に活性化するのみでなく、受容体-G蛋白質連関にも影響を与え得ることを示している。医薬品の新しいスクリーニング系を開発していく上で、今後これらG蛋白質の活性測定法が有用であることが本研究によって示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yasunori Kanaho: "A protein kinase C inhibitor,staurosporine,activates phospholipase D via a pertussis toxin-sensitive GTP-binding protein in rabbit peritoneal neutrophils" Journal of Biological Chemistry. 267. 23554-23559 (1992)
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[Publications] Satoshi Kikkawa: "Activation of nucleoside diphosphate kinase by mastoparan,a peptide isolated from wasp venom" FEBS Letters. 305. 237-240 (1992)
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[Publications] Kenji Kontani: "NAD glycohydrolase specifically induced by retinoic acid in human leukemic HL-60 cells.Identification of the NAD glycohydrolase as leukocyte cell surface antigen CD38" Journal of Biological Chemistry. 268. 16895-16898 (1993)
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[Publications] Mitsuhiko Yamada: "G_k and brain G_<βγ> activate muscarinic K^+ channel through the same mechanism" Journal of Biological Chemistry. 268(in press). (1993)
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[Publications] Kazuyoshi Chiba: "Induction of starfish oocyte maturation by the βγ subunit of starfish G protein and possible existence of the subsequent effectors in cytoplasm" Molecular Biology of the Cell. 4. 1027-1034 (1993)
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[Publications] 仁科 博史: "Annual Review細胞生物学1993 (矢原一郎、御子柴克彦、月田承一郎編)" 中外医学社, 349 (1993)
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[Publications] 堅田 利明: "生体における情報伝達 (西塚泰美、田中千賀子編)" 南江堂, 322 (1993)