1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04558013
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
土屋 公幸 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (30155402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 正史 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20117964)
村松 澄子 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30136204)
渡辺 勇一 新潟大学, 理学部, 助教授 (30035480)
笠井 憲雪 北海道大学, 医学部, 助教授 (60001947)
鎌田 勉 北海道大学, 歯学部, 助手 (20091431)
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Keywords | コウモリ / 実験動物 / 飼育繁殖 / 聴覚生理 / 音声コミュニケーシヨン / 周波数変異 / 性腺刺激ホルモン / 免疫組織学 |
Research Abstract |
日本産コウモリの中から長期飼育・繁殖に適した種を検索し、特異的な実験動物であるコウモリの実験的研究が容易に行えるようにすることを目的に、本年度は以下の研究を行った。野外集団:活動周期、洞窟内気温、湿度などを集積し、母獣の音声による個体識別の仕組みを探るため北海道、九州、沖縄各地の個体群の超音波の周波数を録音し、地理的変異を解析した。さらに、繁殖期と冬眠期のコウモリを捕獲し、下垂体組織を免疫組織学的に観察比較した結果、冬眠期の下垂体では雌雄ともに黄体形成ホルモンの免疫染色性が著しく強くなっていた。繁殖期に捕獲し1カ月間飼育した個体では冬眠時と同様に黄体ホルモンの下垂体組胞内への貯蔵の増大が明らかで、雄で特に著しかった。中葉細胞は肥大傾向があり、捕獲後のストレスが影響していることが考えられた。室内集団:テングコウモリは18カ月の長期飼育を継続中であるが飼育下での繁殖は確認できなかった。しかし、2月に捕獲したユビナガコウモリでは、6月に出産1児を得たが親から落下し死亡してしまった。今年度新たにヒナコウモリ、クビワコウモリ、ウサギコウモリの飼育を試み、ヒナコウモリは1週間後に死亡したほかは順調に飼育している。野外からの導入は、冬眠中の個体(2月〜3月)の方が人工環境に馴化し易いようで、餌付きが良く摂食量も安定しているのに対し、冬眠前(9月)の個体では餌付きが悪く、飼育初期に死亡する個体が多かった。また、過食のために肥満してしまう個体が多かった。一方、数種コウモリを小型の金網ケージに入れ音声をデータレコーダに録音しソナグラフによって分析した。モモジロコウモリ、ユビナガコウモリ、アブラコウモリではいずれもいわゆる短いFM音を発声したが、同じ種の個体間でも周波数に変化が有り、調べた限りではソナグラムから種を区別することは困難であった。キクガシラコウモリではいわゆるCF-FM音を発声した。人工繁殖を試みるため、ラットを用いて性腺刺激ホルモンと絨毛性腺刺激ホルモンの使用量の検討をおこなったところ、ラット系統間で感受性に差が有ることが認められ、コウモリにおいても事前に十分な至適量を検討する必要が有ることが明らかになった。
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