1992 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動抑制による食物剥奪ストレスと鎮痛メカニズムについて
Project/Area Number |
04610072
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山中 祥男 上智大学, 文学部心理学科, 教授 (40103915)
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Keywords | 痛み / tail-flick法 / hot-plate法 / ストレス誘発鎮痛 / 食物剥奪ストレス / 摂食行動 |
Research Abstract |
1)食物剥奪ストレスが生体の活動性との関係で、痛み閾値にどのような変化を生じさせるかを検討した。げっ歯類のratは、夜行性で暗期に活動性が高まり、摂食行動も出現する。そこで、食物剥奪ストレスを与える場合、その開始時期を明期からと暗期からとに分けて検討する必要がある。実験では被験体として、Long-Evans系hooded雄性rat26匹を用いた。午後6時の暗期開始から食物剥奪ストレスを与える群6匹、午前6時の明期開始から与える群6匹、食物剥奪ストレスを与えない2群をそれぞれ7匹ずつ統制群として、計4群を比較した。食物剥奪ストレスの期間(絶食期間)は72時間とした。痛みの閾値の測定は、絶食の開始直後(ベースライン)とその後12時間毎に72時間後まで計7回行った。連続的な痛みの測定であるためtail-flick法を用いた。結果は、暗期より食物剥奪ストレスを与えた群では、ベースラインと比較して36時間後、60時間後にそれぞれ痛み刺激に対する反応潜時が短くなった(痛覚過敏)。これに対して、明期より食物剥奪ストレスを与えた群では、ベースラインと比べ12時間後の測定で反応潜時が長くなった(鎖痛反応)。以上の結果より、食物剥奪ストレスは痛み閾値を変化させると考えられる。しかも、摂食行動が出現する暗期からこの種のストレスが与えられると痛覚過敏を引き起こし、休息期にあたる明期から与えられると鎖痛反応が生ずる可能性がある。これらの反応の環境内での意味については今後検討する必要がある。 2)痛み閾値が飼育条件の違いにより、どのように変化するかを検討した。離乳直後のICR雄性mouseを単独飼育、3匹飼育、9匹飼育の3つの条件下で5週間飼育し痛み閾値を測定した。測定にはhot-plate法を用いた。結果は、各飼育条件で痛み閾値に差はみられなかった。このことから、個体数の異なる飼育環境により痛み閾値に変化はみられないと思われる。
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Research Products
(1 results)