1992 Fiscal Year Annual Research Report
昭和初期農村小学校主婦会創設と展開についての実証的研究
Project/Area Number |
04610133
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
戸田 金一 秋田大学, 教育学部, 教授 (90006528)
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Keywords | 主婦会 / 母(主婦)の会 / 農村教育 / 郷土教育 |
Research Abstract |
研究課題に即して、秋田県平鹿郡植田村植田尋常高等小学校の場合を事例として研究を進めた。基本的資料である「昭和三年以降 家庭訪問主婦会記録」を翻刻すると共に、植田小学校文書および旧職員への聴取り調査の結果、次の諸事実を実証し、あるいは推定し得た。 (1) 該校主婦会は1928年10月に設立され、1943年度までの活動展開の記録がある。 (2) 該主婦会創設は、同年着任した宮原多治校長の推進による。 (3) 宮原多治の履歴を考察することにより、主婦会設立の目的が農村教育の一環としてあったことが推定できる。 (4) また主婦会記録に照らしても、主婦の教養の向上による農村家庭の健全化への志向という、大正期以来の(郷土教育運動の一実践形態である)農村教育の性格を有することが裏付けられる。 (5) そして昭和初期の社会的影響は、木下支部の1932年11月発足に見られるように、男子をも賛助員に加え入れ、農村(経済)更生活動の一環の機能をも併せ持つに及ぶ。1934年度では「農村家庭ノ更正^^<(ママ)>、一家和合」が積極的な校長の講話のテーマとなっている。翌年度においては、毎12日の更生記念日に旗を立てるキャンペーンを加える。 (6) 日中戦争開始後、国策推進キャンペーンの場として機能している。 (7) もちろん学校教育の理解を進める点が重視されたことは当然である。1934年9月には、郷土教育の授業を中心とした公開授業が初めて開催され、各教室で一般父兄を交えた懇談会を行っている。 以上に見る通りの、主婦会の多機能化を第一の実証事項とするが、この教育史的評価も多面的にわたることを要しよう。学校経営の視点で捉えるとき、父兄の参加へのプロセスとして把握できるかどうか、残された考察である。
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Research Products
(1 results)