1992 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の人間関係開発の視点で捉えた生涯学習活動の研究ー特に地域社会における人間関係を中心に
Project/Area Number |
04610168
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
上原 貴夫 長野県短期大学, 教養学科, 助教授 (60105533)
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Keywords | 高齢者 / 生涯学習 / 地域社会 / 人間関係 / 人間関係開発 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の生涯学習活動について人間関係開発の視点から調査研究するものである。調査地は長野県である。同県は、平均寿命が男性77.44歳で全国1位、女性82.71歳で同4位と高く、従って高齢者率も高い。主としてここで行われている老人大学、地域活動指導者養成講座のプログラムや運営、参加者の意識等について調査してきた。参加者についてはアンケート調査を中心に行ってきた。講座は県下10カ所で実施されている。その内、地域的特性を考慮しながら、北信、長野、佐久、松本、木曽、飯伊(飯田、伊那)の6カ所で実施した。対象は1855名(全県下募集定員2500名の74.2%)、回収率81.1%(1449名、内有効回答96.2%-1400名、内男性42.1%で589名、女性57.9%で811名)である。学習プログラムは、およそ全60時間の設定で、年間編成である。形態は座学的な講義を中心とした編成が多い。これに対して実技的なものやクラブ活動などを要望するものが目立つ。運営は、班編成や当番制による係活動が取り入れられている。係活動は多くの者が積極的に肯定している。理由はこれを通して仲間や講師、事務局員等との人間関係構築が可能となる効果をあげている。学習に参加して得られた成果としても人間関係の広がりをあげている。全般に講座の運営については主体的・積極的参加が肯定され、要望されている。地域的な特徴で目立つ点は、会場によっては学習に通うに際して相当に遠隔となる所もある。そのために参加が困難であり、なかには断念する場合もある。交通確保は高齢者にとってかなり重要である。講座を修了した者が、その後、地域社会で活動を実践してゆく上でも、人間関係のネットワーク形成の面などで障害となることもあると思われる。今後、学習や地域活動において講座経験者の自主活動を中心としながらも、その支援に向けた社会整備が重要となる。
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Research Products
(1 results)