1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610224
|
Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
小岩井 弘光 国士舘大学, 文学部, 教授 (10142423)
|
Keywords | 本城 / 牢城 / 壮城 / 教閲廂軍 / 不教閲廂軍 |
Research Abstract |
課題の目的達成のため、まず文献資料の入手・調査などに努めた結果として、初年度での成果を要約すれば、大凡以下の如くである。 1.従来の研究の整理を行い、宋代の兵制上における廂軍に対する総体的理解をえた。次いで個別の理解を深めるべく、資料・文献調査に努めた。具体的には宋・元・明代を中心とする地方志などにみえる廂軍の配置・分類・任務・経費等の記述を抽出、整理を加えるなどの作業を行って、これら知見にもとずいて、廂軍の具体的あり方を考察する段階へと歩を進めた。 2.即ち、まず廂軍の存在形態として、如何なる段使に従事したかを宋初に尋ね、 (1)、地方に所在し、いわゆる本城として諸役使に従事するものが主体をなすが、 (2)、時代の経過とともに禁軍を補完する立場を果す教閲廂軍が登場し、これに応じて先の一般役使に従事する廂軍は不教閲廂軍に区分される経過が見通せた。 (3) これとは別に特殊な廂軍として、牢城・壮城等の廂軍が存在すること、(4)、更に中央官衛等の役使に従事する廂軍のあるも承知された。これら諸種の廂軍が北宋神宗朝前後に50万人体制をもたらし、宋の国家体制を維持したことになり、次にその廂軍の具体像が明らかにされねばならない。 3 本年度はこのうち壮城についての分析・考察を加えた。一応の結果を報告すれば、(1) 壮城の出現は宋初にありと一般にいわれるが、北辺防備問題上に城塞修補が必須となる北宋中期に北辺中心に布置され、以後東南地域等に及んだこと、 (2) その主要な役使は勿論城壁保守にあったものの、時に直接軍事に与る場合もあったこと。 (3) 北宋末・南宋にも、その必要性があり、有用性が認められ、存続利用されたこと、等を明らかにし得た。次年度には、牢城、教閲廂軍の存在形態などを尋ね、更に廂軍の全体像を明らかにしたい。
|
Research Products
(1 results)