1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610224
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
小岩井 弘光 国士舘大学, 文学部, 教授 (10142423)
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Keywords | 廂軍 / 牢城 / 荘城 / 役使 / 教閲 / 不教閲 |
Research Abstract |
前年度に引き続き廂軍関係の資料収集に努め、整理を加えると共に、右資料を利用して、廂軍の研究を進めた。即ち、前年度までに廂軍の個別的存在兵種としての荘域(兵)に考察を加え、その基礎に依拠して、実域(兵)について考察を進めた。ついで廂軍の一般的推移を考察した。 先ずは牢城兵の場合、その存在は宋初から見出せるが、本来強盗貸命などの主として重犯罪者を受け入れるところであって、廂軍に所属するところとはいえ、その額は犯罪者の多少に左右されるところから、無額である筈である。しかし、広く・諸州に布置されるとともに定額化も推し進められ、又給与の支給もあったことから、それに相応する廂軍として役使も期待されるに至った。特に神宗朝以降、その存在が固定化され、更には南宋にも存在したことが明らかとなった。 次に廂軍の一般推積についての場合、廂軍は禁甲が軍事に専らに努めたのに対し、雑役使にもっぱら従事した。一部は中央にあったが、廂軍の多くは地方に所在し、多様な役使に従事することから、必然的に廂軍の増大をめざした。即ち、宋初8万5千人ほどであったものが、神宗朝に至るまでに50万人にも達したのであった。これらを有効に利用することが新に求められ、訓練の有無により、廂軍は教閲、不教閲廂軍と順次分離、整理の過程を辿った。 以上が研究の概要であるが、今後は廂軍の役使の内容を具体的に考察すると共に、南宋時代に廂軍は如何に展開するかなどに考察を進めたい。
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