1992 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシアにおける自由と正義についての思想史的研究
Project/Area Number |
04610240
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
仲手川 良雄 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30042675)
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Keywords | 古代ギリシア史 / 自由 / 正義 / 比敷 |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要はつぎの通りである 1 拙編者『ヨーロッパ的自由の歴史』(南窓社刊 A5版300頁)において、自由に深い関心をもつ11人の研究者がそれぞれ専門の時代、地域を分担し、ヨーロッパ的自由の諸相を捉え出した(この書については『史学雑誌』101編7号で新刊紹介された)。 2.上編者の中に拙論「アテナイ民主政と自由」(7-13頁)を寄稿した.ここでは、アテナイ民主政において自由などのような意味をもち,現実にどのように保障されていたかを考察した。 3.「イセーゴリアの意義ー伝クセノフォン『アテナイ人の国制』1,12についてー」(早稲田大学大学院教育学研究科紀要第2号)を発表した。これはギリシア的自由の重要な要因である,民会等における発信の自由について、貴重な史料の一つである「伝クセノフォン」1,12のイセーゴリアという語を思想史的に究明したものである。 4比較法史号会大会第2回大会において「比較史の可能性」と題する研究報告をおこない,今日の学問状況の中でわれわれにとってどのような比較史がもっとも必要かつ有効であるかを論じた。 5 日本西洋史学会第42会大会において「ペロポネソス戦争における二つの正義」と題する研究発表をおこない,ペロポネソス戦争当時におけるポリス間正義と戦争イデオロギーとの関連について論じた。 6 上記4の「比較史の可能性」は1993年5月刊行予定の『Historia Jario比較法史研究ー思想・制度・社会ー』第2号(末来社刊)に発表することがきまっている。 7 ペロポネソス戦争における正義の問題については,英語論文にして古典古代史専門の権威ある国際誌に投稿する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 仲手川 良雄: "アテナイ民主政と自由" ヨーロッパ的自由の歴史. 9-34 (1992)
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[Publications] 仲手川 良雄: "イセーゴリアの意義-伝クセノフォン『アテナイ人の国制』1・12について" 早稲田大学大学院教育学研究科紀要. 2. 73-83 (1992)
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[Publications] 仲手川 良雄: "比較史の可能性" Historia Juris 比較法史研究-思想・制度・社会. 2. (1993)
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[Publications] 仲手川 良雄: "ヨーロッパ的自由の歴史" 南窓社, 300 (1992)