1992 Fiscal Year Annual Research Report
大正期から昭和戦前期における国家統治機構の法構造およびその構築過程に関する研究
Project/Area Number |
04620004
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
山中 永之佑 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (70028009)
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Keywords | 国家統治機構の法構造 / 市制 / 町村制 / 内閣官制 / 軍令 / 名望家支配 / 郡行政 |
Research Abstract |
1.国立公文書館所蔵の公文類聚、公文雑纂、公文別録、枢密院文書中から大正期、昭和期の統治機構関係の資料を調査し、公文類聚から「大正10年市制町村制改正法律案」、「大正11年六大都市行政監督ニ関スル法律案」、公文雑纂から「国家総動員機関ニ関スル件」、公文別録から「戦後財政整理ニ関スル件」、枢密院文書から「大正14年衆議院議員選挙法改正ニ関スル委員会録」等を収集することができた。2.国立公文書館所蔵の自治省文書を調査し、第79回、第81回帝国議会における大臣答弁資料、部落会、町内会関係資料を収集した。3.国立国会図書館所蔵の小橋一太(元内務次官)文書、平沼騏一郎(元内務大臣、総理大臣)文書を調査し、大正期の衆議院議員選挙法改正に関する資料を収集した。以上の作業により本年度の資料調査、収集予定の八割を達成できたと考えている。これらの収集資料により以下の新たな研究成果をあげることができた。(1)明治・大正・昭和戦前期を通じ国家統治機構の中軸をなす市制、町村制における名望家支配の構造が、従来考えられていた以上に大きな差異を有するものであることが判明した。すなわち町村長は名望家であることが立法意図においても求められていたが、市長は立法意図においても名望家であることが求められていなかったということである。(2)従来の町村制度研究方法である自然村と行政村の対比という二元的方法論が再検討を要すると考えられるに至った。(3)(1)(2)でえられた知見が、本研究を進めていく上でどのような意義を持つかが、平成5年以降の新たな追究すべき重要な研究課題となった。(4)明治40年の内閣官制の改定と軍令の制定が大正・昭和戦前期における国家統治機構の法構造およびその構築過程において重要な意義を有する国家権力の法構造の二元化を確定するものであることが判明した。
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Research Products
(2 results)