量子色力学とスキルミオンを持つ低エネルギー有効理論

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04640290
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 沢田 昭二 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022546)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小林 昭三 新潟大学, 教育学部, 教授 (10018822) ; 斉藤 栄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (40022694) ; 安野 愈 名古屋大学, 理学部, 教授 (30022544)
• Keywords: 非線形シグマ模型 / スキルミオン / カイラル・ソリトン / 低エネルギー有効理論 / 非相対論的クォーク模型 / 量子色力学 / パイ中間子-核子散乱 / 構成クォーク

Research Abstract

量子色力学(QCD)の低エネルギー有効理論である非線形シグマ模型のソリトン解であるスキルミオンに関する研究を引き続いて行うとともに、QCDの成立にいたる過程において重要な役割を果たし現象論的にも実験事実をよく再現する非相対論的クォーク模型との関連についても研究した。今年度の新たな進展の主なものは以下の2つである。
(I)量子化したchiral solitonのtopologicalな性質に付いての研究については、特に3次元球面S^3上のchiralsolitonのspin-isospin空間における回転およびsolitonの中心を中心とする伸縮運動(ブリージング・モード)をcollective coordinateの方法によって量子化し、この系の相転移構造を調べた。
(II)skyrmion描像に基づき、高次補正を含めて一貫した矛盾の無い方法によってYukawa相互作用やπ-N散乱現象を記述することができるかどうかは、この描像の長い間の懸案であったが、この問題について基本的な解決を得ることが出来た。
研究代表者と分担者の内、沢田、斉藤、小林の3名は8月23日〜9月3日、敦賀-ウラジオストック-札幌で開催された“QCDに基づくハドロンと原子核に関する国際サマースクール"に参加し、上記の研究成果も含めて発表・講演を行った。
最近になって、量子化したchiral soliton描像をもとに、非相対論的クォーク模型におけるconstituent qurk描像についての手がかりが得られる可能性について研究が進展している。また、chiral solitonに採り入れられていないquarkの自由度を考慮した研究の新しい芽も生まれている。これらは平成7年度の研究計画に追加する予定である。

Research Products

• [Publications] A.Kobayashi et al.: "Phase Structure of a Quantized Chiral Soliton on S^3." Progress of Theoretical Physcis.90. 1075-1090 (1993)
• [Publications] S.Saito et al.: "Pion Photoproduction in the Skyrme Model and Low-Energy Theorem." Nuclear Physics A. 556. 317-330 (1993)