1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640639
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小川 茂 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (40194435)
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Keywords | 緑藻 / 多核緑藻 / ミル目 / ハネモ / 核分裂 / 核分裂の微細構造 / 栄養細胞 |
Research Abstract |
緑藻類は分類の困難なグループの一つである。この緑藻類の系統や類縁を探るためには、栄養細胞における細胞分裂の微細構造的特徴の比較形態学的研究が重要であることが示され、多くの種でその記載がなされてきた。しかし、多核嚢状体制をとる多核緑藻、特にミル目では、栄養細胞における核分裂の微細構造に関して殆ど研究が行われていない。そこで今年度は、ミル目に属する種の栄養細胞における核分裂の微細構造的特徴を明らかにすることを目的に研究を行った。材料としては、単種培養できたハネモ(Bryopsis plumosa)を用いた。 人工海水を用い、温度25℃、12時間明期(照度3,000-4,000lux)-12時間暗期の条件下で培養した栄養藻体(配偶体)を、DNAポリメラーゼαの機能を阻害することが知られているアフィディコリン(濃度5μg/ml)で2日間処理をすると、処理後9時間目頃に分裂頻度が上昇し、分裂指数は約20となることがわかった。そこで、アフィディコリン処理を行い分裂頻度の高まった藻体を電子顕微鏡試料とした。 ハネモの核分裂の微細構造的特徴は次のようであった。1 核分裂は、分裂の間核膜が閉じている、いわゆる閉鎖型分裂様式である。2 染色体上に明瞭な動原体は認められない。3 分裂核の両極に中心小体はみられない。4 核小体が分裂核内に残存する。5 分裂後期の染色体の分離は同調的である。今回の観察から、ハネモの栄養細胞における核分裂の微細構造的特徴は、イワヅタ目とカサノリ目の種でそれぞれ報告されている核分裂の微細構造的特徴と類似することが明かとなった。 尚、昨年度の研究で得られたマガタマモの核分裂に関する成果は論文として印刷中である。また、今年度の成果は論文として公表すべく、近く投稿を予定している。
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Research Products
(1 results)