1993 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶Ni基超合金の自然発生型クリーブ疲労微小き裂進展に関する結晶破壊力学的検討
Project/Area Number |
04650080
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
岡崎 正和 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00134974)
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Keywords | Ni基超合金 / γ'強化析出相 / 微小疲労き裂進展 / 酸化 / 巨視き裂 / 温度 / 弾性係数 / き裂開閉口 |
Research Abstract |
本研究では、Ni基超合金単結晶材CMSX-2、一方向凝固材CM247LC-DSおよび多結晶材CM247LC-CCの高温における巨視疲労き裂、および、微小疲労き裂の進展挙動、き裂開閉口挙動および微視組織との対応関係を調べ、これらの合金の疲労き裂進展における温度の影響を調査した。 その結果、以下のことを明らかにした。 (1)応力拡大係数範囲ΔKをパラメータとしてCMSX-2およびCM247LC-DSの各温度における微小疲労き裂の進展速度を相関づけると、き裂進展における温度の影響は顕著ではない。しかし、き裂開閉口と弾性係数の温度依存性を考慮した本質的なき裂伝ぱ抵抗は、温度の上昇にともない低下している。この低下現象には、き裂先端近傍の酸化による主要強化析出相γ'の消失が大きく関与している。 (2)ΔKeff/E(ΔKeff:有効応力拡大係数範囲、E:負荷方向の弾性係数)をパラメータとしてCMSX-2とCM247LC-CCの微小疲労き裂の進展速度を比較すると、前者の方が優れた微小疲労き裂伝ぱ抵抗を有する。 (3)CM247LC-DSの各試験温度における巨視き裂と微小き裂の進展速度をΔKeffに相関づけて比較すると、全ての温度条件下において微小き裂の進展速度は巨視き裂のそれよりも大きく、巨視き裂の下限界値ΔKeff,th以下の条件下においても進展する。 (4)CMSX-2およびCM247LC-CCの巨視疲労き裂の進展速度は温度の上昇にともなって小さくなり、き裂伝ぱの下限界値も上昇する。しかし、き裂開閉口と弾性係数における温度依存性を考慮したパラメータ、ΔKeff/Eに対してこれらの進展速度を再整理すると、温度依存性はほとんど見られなくなる。したがってこれらの材料の巨視き裂の進展速度の温度依存性は、主としてき裂開閉口と弾性係数の温度依存性により生じたものと言える。 (5)前述の結論(3)および結論(1)と結論(4)による微小き裂と巨視き裂の伝ぱに関する現象論的比較から、巨視き裂のみの情報によりNi基超合金の健全性評価を行うことは不十分であり、今後定量的な評価手法の確立が不可欠である。
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