1992 Fiscal Year Annual Research Report
固体電解法で作製したビスマス系酸化物高温超伝導体の結晶配向度と臨界電流密度の関係
Project/Area Number |
04650265
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
太田 昭男 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10124728)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 固体電解法 / 臨界電流(密度) / 金属被覆加工法 / ビスマス系酸化物 |
Research Abstract |
1.緒言: 本研究では、高融点金属の精練に用いられる固体電解法をBi系(110 K 相)酸化物高温超伝導体に応用し、結晶配向度の向上を図り、結晶粒間の弱結合性を改善させて高電流密度化への道を拓くことを目的とする。具体的には、金属被覆加工法を用いて、銀同軸円筒電極の間に超伝導酸化物を封入した銀/酸化物コンポジットを作製し、電界強度Eをパラメタとして直流通電下で酸化物試料を焼結し、試料の超伝導特性(主として臨界密度I_C)に及ぼす直流通電の影響を研究した。 2.実験: 出発原料(共沈粉:Bi_<1.8> Pb_<0.3> Sr_2 Ca_<2.2> Cu_3 O_X)を790℃で仮焼の後、粉砕する。これを2回繰り返し、銀パイプと銀丸棒を同軸状に組み合わせて、両者の隙間に仮焼粉を封入する。その後、複合体スエージング加工し、830℃、100hで一次焼結する。更にスエージングを行った後、試料を適当な長さに切断し、パイプの一端を加工して内部の丸棒を約1cm露出させる。パイプと露出した丸棒に銀電極を取り付け、二次焼結を830℃、150hで行う。二次焼結の際、最後の10hは直流電流を2〜8Aの範囲(E=15〜60 V/m)で通電した後、77Kでの試料の電流ー電圧特性を測定して臨界電流I_Cを評価する。 3.結果: 直流通電試料の方が無通電試料に比べて高いI_Cを示し、またばらつきも少ない。具体的には、無通電試料のI_Cは、同じ条件で作製した場合でも、8A〜20Aの範囲で大きくばらつくが、通電試料では常に安定して20A以上のI_C(最大値は30A)を示す。これは、融点直下の直流通電を通じて、電気分解の原理により、とくに質量の軽い銅、酸素イオンがそれぞれ-、+極に移動し、結晶の成長が一層促進されて粒間弱結合性が改善し、I_C値の改善及び安定化が実現したものと考えられる。
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